「GKデザイン機構」(東京都)社長の田中一雄さんが7月28日、金沢美術工芸大学(金沢市小立野2)でデザインをテーマに公開講義を行った。
同社は1952(昭和27)年創業の国内最大の独立系デザイン事務所で、田中さんは同大学の客員教授を務める。講義のテーマは「続・デザインの今と将来 最新海外事例に基づきデザインの現状を示し、AI 時代におけるデザインの展望を考える」で、この日は学生を中心に約50人が講義室に集まった。
田中さんは、デザインは色や形だけでなく、システムやサービスなどへ領域拡大していることを、ドイツの国際的デザインアワードの受賞作品を紹介しながら説明。「デザイナーは全てを設計することはできないが、発想力を使って提案を作り、エンジニアに対して具体的な課題を出すことで実現に向けた道を開くことができる。デザインは新たな価値の社会実装力を持っている」と話す。
AI時代のデザインについて田中さんは、AIを活用して納期を4分の1にしてほしいという依頼を受けたことがあるといい、「確かにAIを使えば、そこそこの品質のアイデアを短時間で大量につくることができる。AIに完成品を作ってもらうのではなく、『思考を加速させる道具』と考えて使いこなせばいい」と話す。
最近ではAIで絵を描くことができるようになり、イラストレーターやデザイナーの廃業が起きていることも指摘。「AIをツールとして積極的に使っていくことは必要。その上でデザイナーの『目利きの力』はより重要になってくるはず。『目利きの力』はそもそも絵を描くことでしか身に付かないので、学生さんは若いうちに感覚を鍛えてほしい」とげきを飛ばす。会場のデザインを学ぶ学生は「最近、昔ながらの手を動かすカリキュラムが復活したが、その理由が分かった」と話していた。