特集

【地域の魅力探り隊 with 北陸大学】
vol.09 重要文化財特別公開 見慣れた金沢城、その内部へ

 金沢城公園で現在、「重要文化財の特別公開」が開催されている。普段は内部を見学できない重要文化財の石川門、三十間長屋、金沢城土蔵(鶴丸倉庫)の3カ所が公開され、金沢城の歴史や建築技術を間近で体感できる。金沢城はまち歩きや観光で目にする身近な存在だが、建物の内部まで入る機会は意外に少ない。外から見慣れた風景が、内部に足を踏み入れることで違って見えてくる。


石川門の外観(写真提供=掛場拓武)

 石川門は、金沢城の表玄関として知られる格式ある城門で、白い海鼠(なまこ)壁や鉛瓦など、加賀藩ならではの特徴的な造りを見ることができる。現存する数少ない江戸時代の城郭建築としても高い歴史的価値を持つ。内部に入ると、太い梁(はり)が組まれ、江戸時代の建築技術の高さを間近で感じられる。石落としの構造も確認でき、歴史の授業で耳にした「城の防御」が具体的な形で目の前に現れる。城門が単なる出入り口ではなく、戦いを想定した重要な施設だったことが実感できる。

奥行きのある空間が広がる石川門の内部(写真提供=宮﨑悠聖)

 三十間長屋は1858(安政5)年に再建された武器庫で、長さ約48メートルに及ぶ堂々とした建物。内部では、鉄砲や弾薬を保管していた当時の構造を見学でき、城の防衛を支えた役割を知ることができる。30間という長さは数字だけでは想像しにくいが、建物の端まで見通すと、その規模の大きさがよく分かる。


迫力のある三十間長屋の外観(写真提供=掛場拓武)

 内部に入り、階段を上がると、長く続く木造の空間が広がる。木の香りや太い柱には、思わず上を見上げるほどの迫力がある。複雑に交わる梁は、写真だけでは伝わりきらない。くぎはほとんど見当たらず、木材同士を組み合わせて建物全体の強度を高める伝統的な木組み工法が用いられている。知識として学ぶだけでなく、実物を見ることで当時の建築技術の高さに驚かされる。長い年月を経てもなお、建物は強い存在感を放っている。


長屋を支えるため複雑に交わる梁(写真提供=宮﨑悠聖)

 金沢城土蔵(鶴丸倉庫)は、幕末の1848(嘉永元)年に建てられた大型の土蔵で、元は武具蔵として使われていた。総2階建てで、桁行約22メートル、梁間約15メートル、延べ床面積は約636平方メートルに及び、城郭内に現存する土蔵としては全国的にも最大級の規模を誇る。外観は切り妻造り・桟瓦ぶきで、腰部分に石を張り、上部を塗り込めの壁とする重厚な造りが特徴である。内部は1階・2階とも板敷きで、広い空間を支えるために太い柱や梁が用いられており、武具を保管した施設としての実用性と防火性を兼ね備えている。特別公開では内部構造を間近に見学できるほか、加賀藩の大名行列に関する展示もあり、歴史に詳しくない人でも当時の藩政や城内の様子を想像することができる。

金沢城土蔵(鶴丸倉庫)の外観(写真提供=掛場拓武)

広々とした金沢城土蔵(鶴丸倉庫)の内部(写真提供=宮﨑悠聖)

 今回の特別公開は、歴史好きの人だけでなく、金沢で暮らしながら金沢城を「いつもの風景」として見過ごしていた学生にもお勧め。写真映えする外観だけでなく、木の香りや梁の組み方、石落としなどの細部に目を向けると、金沢城の見え方が変わる。普段は立ち入ることができない重要文化財を見学できるこの機会に、身近な地域の歴史を自分の目で確かめてみてはいかがだろうか。特別公開は11月までの土曜・日曜のほか、行楽期などに行う。

 

石川県金沢城・兼六園管理事務所
https://shiro-niwa.pref.ishikawa.lg.jp/kanazawa-castle/

【地域の魅力探り隊 with 北陸大学】は北陸大学の協力の下で取材を行い制作した特集記事です。
 

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