忍者寺の愛称で知られる妙立寺(金沢市野町1)の蔵を改修した「祈りの場」が8月26日に完成し、県内の作家が参加した「いのちに合掌アートプロジェクト」が同日から一般公開された。
改修した蔵は約400年前に建てられ、かつては経典などを保管する経堂として使われていた。住職の張田知生さんは「全ての命に合掌するという日蓮宗の教えを、国内外から訪れる多くの参拝者に分かりやすく伝えたいとプロジェクトを立ち上げた。私も子どもの頃から犬と一緒に育ち、命について考え始めたきっかけになったのが動物だった。犬をモチーフにすることで、生きとし生けるものの命の尊さを伝えやすいと考え、作品の制作を作家に依頼した」と話す。
蔵の中央には、木彫刻作家の齊藤美知代さんがクスノキを彫って制作した高さ70センチ、重さ約100キロの犬の像を設置した。齊藤さんは「訪れた人に気軽になでてもらえるよう、念入りに磨き上げた。強さだけでなく、優しい表情になるようこだわった」と話す。
天井には、石川県在住の作家8人が制作した32枚の犬の絵を飾った。天井画を奉納したのは、画家の大塚光子さん、キタハラホウさん、倉林雅幸さん、高明輝さん、浮世絵師のアマヤギ堂ジュンさん、デザイナーの加賀勇士さん、中野武生子さん、アーティストの紅乃谷さん。
リーダーを務めた倉林さんは「長期にわたって天井画として展示してもらうため、古典的な技法を使うなど保存にも配慮して描いた。油絵で四季をイメージし、飼っていた犬の思い出や温かい情景を表現した」と話す。
張田さんは「犬だけでなく、全ての動物や人の命を等しく尊い存在として扱い、祈る場になった。亡くなった命だけでなく、自分や大切な人など今を生きる命にも心を寄せられる場所として利用してほしい」と呼びかける。
拝観時間は9時〜17時。蔵は入場無料。