ドイツ・ベルリンにある欧州最大級の文化施設「フンボルトフォーラム」で展示される「ゆらぎの茶室」が6月5日、金沢市内で公開された。
同作品は金沢の新しいまちづくりの方向性を模索するための有志が集まった「金沢まち・ひと会議」の議論から提起された、建築を一つの工芸として考える「工芸建築」の一例。昨年11月の「工芸建築展」では1/3スケールのオブジェが展示され、今回は実物の作品がお披露目された。
同施設内にベルリン国立アジア美術館が移設されることを受け、昨年夏に茶室の国際コンペティションで最優秀案に選定されたもの。統括を浦建築研究所(金沢市本多町3)社長で建築家の浦淳さん、監修を裏千家今日庵業躰(ぎょうてい)の奈良宗久さん、設計協力として金属造形作家の坂井直樹さん、漆工作家の三代・西村松逸さん、陶芸家の中村卓夫さんが携わっている。
作品テーマに「破壊と創造」を掲げ、ベルリンの地で平和を守るイメージに、アートやオブジェとしての茶室と禅を組み合わせた。かつてのカイザー・ヴィルヘルム記念教会をなぞらえた八角形の茶室は8畳で、錆ついた鉄壁、漆の庇(ひさし)、県内産の和紙を使った茶道口や襖(ふすま)などが特徴的。縁側の床はうわぐすりで打ち水を表現しているという。
検査に訪れていたドイツ国立美術館関係者からは「完成度が高く、想像以上」といった声が上がっていた。
検査完了後に解体され、ベルリンに輸送され、来年春より展示予定。