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金沢に国立工芸館が移転開館 日本海側初の国立美術館に

開館記念式典では、名誉館長を務める中田英寿さんの姿も

開館記念式典では、名誉館長を務める中田英寿さんの姿も

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 東京国立近代美術館工芸館、通称「国立工芸館」(金沢市出羽町、TEL 050-5541-8600)が、金沢の歴史的建造物や文化施設が多く集まる「兼六園周辺文化の森」に10月25日移転開館した。

【VRで読む】兼六園周辺文化の森に国立工芸館が移転開館 日本海側初の国立美術館に

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 1977(昭和52)年に東京の北の丸公園に開館した同館は、東京国立近代美術館の分館として、陶磁・漆工・織などの伝統工芸からグラフィックデザインに至るまで、日本の近現代の工芸・デザイン作品を専門とする国立の美術館。

 今回、約1900点を金沢に移転し、所蔵されている全国各地の選(よ)りすぐりの工芸作品のほか、特別展や共催展として国内外の工芸・デザイン作品を展示していく。名誉館長に元サッカー日本代表の中田英寿さんを迎え、金沢を拠点に日本の工芸の国際発信力強化も図る。

 移転開館を記念して開催される展覧会「工の芸術-素材・わざ・風土」では、それぞれの地域の自然の中で生まれ、技術を向上していくことで発展してきたという工芸の本質に視点を置き、松田権六、板谷波山、富本憲吉といった巨匠をはじめ、最新技術を用いて制作された現代の作品など、明治期から現代までの近代日本工芸の名品約130点を展示。また、昨年重要無形文化財に指定された、鈴木長吉の金工作品「十二の鷹」から3点が石川で初お披露目となり、世界で絶賛された超絶技巧を間近で見ることができる。

 建物は、明治時代に建てられた国登録有形文化財「旧陸軍第九師団司令部庁舎」と「旧陸軍金沢偕行社(かいこうしゃ)」を移築して利用。復元された両翼部分は鉄筋コンクリート造りにしたことで、作品展示が可能となった。

 建物中央の木造部分には、金沢出身の人間国宝、松田権六の工房を移築するなど関連資料や映像を中心とした展示を行うことで、全体として展示面積は移転により増えた形となる。

 工芸課主任研究員の花井久穂さんは「新型コロナウイルスの時期と重なり、暗中模索の移転作業だった。タッチパネルで茶わんの裏を見られるような3D画像やアプリでの解説などデジタル技術もふんだんに取り入れ、工芸に初めて触れる方やお子さん、外国人の方にも楽しめるよう工夫を凝らしている。ぜひ多くの人に来館していただき、全国各地の多種多様で質の高い工芸作品をご覧いただきたい」と話す。

 同展は1月11日まで。観覧料は一般500円。日時指定・定員制を導入しており、インターネットで事前予約が必要。

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