
イギリスのバイク「トライアンフ」が加賀友禅とコラボしたバイクの展示が4月1日、「加賀友禅ミュージアムそめりあ」(金沢市小将町)で始まった。
トライアンフモーターサイクルズジャパンが主催し、同社の正規販売店が参加する「デイトナ660カスタムコンテスト」がコラボのきっかけ。「トライアンフ金沢」(野々市市中林2)が「石川県らしいカスタムで、能登復興への願いを込めたバイクを出品したい」と加賀友禅文化協会に協力を依頼。バイカーでもある加賀友禅作家で伝統工芸士の太田昌伸さんと柿本結一さんに白羽の矢が立った。
加賀友禅が映えるようメタリックホワイトにカラーリングした「デイトナ660」の片面ごとに、それぞれの作家が手描き友禅で染めた着物生地を特殊なシートに加工して貼り付けた。バイク全体の作品名は「想(おも)いを染めて走る」。
右側面を担当した太田さんは伝説の鳥・白鵬(はくほう)をイメージした羽などを描き、能登半島地震や豪雨で被害に遭った地域の復興・復旧への願いから、作品名を「飛翔(ひしょう)」とした。左側面を担当した柿本さんはピンクや青で染めたしだれ桜を全体にあしらい、「みんなが笑顔になるように」という思いで「さくらとともに」と名付けた。柿本さんの父で、同じく伝統工芸士の柿本市郎さんが手がけた加賀友禅の振り袖「さくら さくら」をバックに展示する。
太田さんは「バイクに手描きの加賀友禅をどう取り込めるかを考えつつ、能登への祈りや希望を込めたデザインにこだわって制作した。バイクの形や曲線に合わせて布を染色したりカッティングしたりするのが難しかった」と振り返る。加賀友禅文化協会事務局長の中川聖士さんは「ミュージアムを訪れる外国人観光客にも好評。加賀友禅の美しさとバイクとの融合を、実際に目で見て楽しんでほしい」と来館を呼びかける。
開館時間は9時~17時。水曜定休。バイクの観覧は無料。5月31日まで。