金沢漆器をヨーロッパへ-老舗漆器店「能作」が海外戦略を本格化

ヨーロッパの富裕層向けに制作した金沢漆器の小箱

ヨーロッパの富裕層向けに制作した金沢漆器の小箱

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 創業から227年を数える老舗漆器店「能作」(本店=金沢市広坂)は、ヨーロッパでの金沢漆器の販売網拡大を狙って、今年11月にイタリア・ミラノで自社独自の展示即売会を企画している。ミラノは昨年1月に続く2回目の開催で、ヨーロッパの富裕層向けに、現代のライフスタイルにマッチしたシンプルでモダンな小箱を中心に売り込んでいく。

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 今回の展示即売では、県工業試験場などと連携して開発を進める3次元CGシステムも活用する考え。この3次元CGシステムは、図面段階のものを立体的に映し出し、ボタン一つで色や柄を変更できる。量産が求められる注文が入った際、図案や試作品をもとにデザインを決めていた従来の方法に比べ、大幅なスピードアップが期待されている。企画製造に3次元CGを導入するのは金沢漆器業界初の試みで、海外への売り込みでも強力な広報ツールとして役立ちそうだ。

 同社が海外戦略を描いたきっかけは、ヨーロッパの伝統工芸の産地をめぐる石川県主催の視察研修に岡能久社長が7年前に参加したことだった。「各地の陶器とコラボレーションした石川伝統工芸展を開催したところ、来場者の評判は上々だった。金沢漆器の素晴らしさは、海外でも十分に通じると感じた」(岡社長)。

 その翌年の2002年には、世界最大の国際消費財見本市「フランクフルト・メッセ」の招待を受けた県の特別企画展に金沢漆器を出品した。その後も、モナコなどで開かれた展示会に参加し、海外のニーズの把握に努めてきた。

 こうした「能作」の積極的な海外戦略は昨年12月10日、中小企業地域資源活用促進法に基づいて国が認定した「地域産業資源活用事業計画」にも選ばれた。今後、専門家によるアドバイスや販路開拓に対する補助などが受けられる。加賀藩3代藩主・前田利常の肝いりで産声を上げてから約370年、貴族文化と武家文化が融合した独特の漆工芸のグローバル化が加速している。

ヴィトンと輪島塗がコラボ-限定200個の小物ケースが人気(金沢経済新聞)石川の工芸品を東京で紹介-マーケット視点の商品づくり目指す(金沢経済新聞) 漆作品が仕上がるまでの時間ごと楽しむ企画展「漆を待つ」(金沢経済新聞)漆器の能作

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