災害でガスや水道が止まっても身近な道具と手軽な材料で作れる「震災食」の調理体験会が9月2日、介護・嚥下(えんげ)食にも対応する金沢の飲食店「ツバメヤ」(金沢市幸町)で開かれた。
講師を務めたのは、市内在住の管理栄養士・乙川味巧さん。東京と金沢で調理専門学校講師を経て、現在は金沢で学校給食を作りながら県内外で震災食の講座を開くなど精力的に活動している。主催は介護を支援する社団法人ワールドトラストメディカル。
乙川さんは東京在住中、首都直下型地震に備え防災グッズをそろえようとしたところ、おいしそうな非常食が見つからず、価格も高いと感じたことから「災害時に誰もがおいしく食べられるものがあれば」と、震災食のレシピ作りを始めた。ビニール袋に材料を入れて調理する「家庭版・真空調理」をベースに、誰にでも簡単にできるスープや煮物など約55のレシピを考案した。
当日参加したのは、地元の主婦やファミリーなど15人。「ご飯」「大豆とひじきの煮物」「りんご煮」「ようかん」の献立をカセットコンロとポリ袋を使い調理、試食した。「『震災食』と言っても、離乳食から介護食・お弁当・アウトドア・病態対応など、日頃から活用できる幅広いレシピがある。普段料理をしない人こそ、ぜひ試してもらえれば」と乙川さん。今後も地元消防署や婦人会などの要請を受け、調理体験会や講演会の予定が続くという。