白山麓に自生する植物を使った草木染の展覧会「天空の彩 島田鯛子展」が2月11日、しいのき迎賓館(金沢市広坂2、TEL 076-261-1111)で始まった。
【VRで読む】しいのき迎賓館で、白山麓の植物で染め上げた「天空の彩」展
島田鯛子さんは旧門前町の出身。幼い頃から母親が普段の暮らしの中で行う、染色や縫製などの手作業を見て育った。高校卒業後は東京でファッションを学び、教員を務めるなどしていたが、本格的に染色の道に進んだのは30年ほど前。夫と共に白山麓に移り住み、山に自生する植物を使いながら、染色作家として活動。「寒染め」といわれる2月の冷たい水を使うことで、優しい自然の色合いに鮮やかさを増しているという。本物の桜ではピンク色が出ないという業界の常識を打ち破り、独自の方法で桜色に染め上げることにも成功した。会場には、春らしい色合いのあでやかなストールやカシミヤのセーターなどさまざまな作品を展示している。
染色作品以外にも、陶芸や、能登上布に使われる苧麻(ちょま)をより合わせて作ったワイルドな帯留め、クルミを使ったアクセサリーなど、天然素材の表情を存分に生かした作品50点以上が並ぶ。一部は購入可能で、桜やコブナ草で染められたポケットチーフなど、3,000円から。木目を生かして仕立てられた額装なども販売されている。
島田さんは、素材による発色の違いにも研究を重ねており、高品質な天然繊維を使うことで得られる上品な色合いにこだわる。現代では手に入りにくくなった天然素材を求め、着古した昔の洋服をリメークする活動を行うほか、昨年は大学生とコラボレーションして木材に草木染を施すなど新しい試みにも挑戦している。島田さんは「若い世代の方にも、天然の素材や古いものを活用する良さを知ってもらいたい。手に取っていただき、肌触りや自然の風合いを感じていただければ」と話す。
開館時間は10時~16時。今月14日まで。