「東アジア文化都市2018金沢」の一環として展覧会「変容する家」が、金沢市内の3つのエリアで開かれている。
【VRで読む】金沢市内で開催中の「変容する家」にし茶屋街周辺の様子
主催は市と「東アジア文化都市2018金沢実行委員会」。イベントには韓国・中国・日本から22組の作家が参加し、「家」をテーマに全28作品を出品する。会場となるのは、「金沢21世紀美術館」(金沢市広坂1)を中心とした広坂エリア、石引商店街に沿うように作品が配置された石引エリア、観光地でもあるにし茶屋街や寺町寺院群を有する寺町・野町・泉エリアの3カ所。建物やフロアを1組の作家で貸し切るなど、空間を丸ごと使ったダイナミックな展示が見どころ。
寺町・野町・泉エリアのにし茶屋街周辺では、元お茶屋兼たばこ屋だったという明治建築の町家を使い、1階にス・ドホさんやリ・ビンユアンさんが映像作品を展示。2階ではギムホンソックさんが祖父の人生の中で歴史的な出来事が起きた7日間を、部屋に差し込む光の色や角度でそれぞれ表現する。「甘納豆 かわむら」の土蔵ギャラリー「一果」では、金沢市在住の伊能一三さんが「へいわののりもの」と題した作品展を開く。
「タイルの家」と名付けられた町家では、魚住哲宏さんと魚住紀代美さんが金沢で集めた家具や生活用品、各地で収録した音などを組み合わせ、家一軒を使って一つの物語を織り上げる「ある小さな過去を巡って」を制作した。にし茶屋街からほど近い「増泉一丁目緑地」(増泉1)には、ハン・ソクヒョンさんが「Super-Natural:One day landscape in Kanazawa」を展示。緑のパッケージが目立つペットボトルや空き瓶、空き缶、ゴミ用のネットなどを使い、緑やリサイクルを信じる現代人への問題提起を込めた。
市内中心部の街なかを見て回るスタイルのイベントにちなみ、加賀友禅の文様をモチーフにしたスタンプラリーも同時開催。観光客だけでなく地元の人からも問い合わせがあるなど、盛り上がっている。共催する金沢21美術館の黒澤浩美さんは「作家はそのエリアや街、建物のストーリーや歴史を意識しながら、作品制作や展示を行った。作品を点在させたのはチャレンジでもあったが、等身大の金沢らしさがある日常の空間や雰囲気を感じ取ると同時に、作品を楽しんでいただければ」と話す。
開場時間は10時~17時(会場により異なる場合あり)。祝日以外の月曜と、9月18日、25日、10月9日休場。入場無料。11月4日まで。