石川県内の農家と和菓子店が参加する「農菓プロジェクト」が7月12日を「夜舟の日」と定め、和菓子13品を期間限定販売する。
同プロジェクトは2015年に和菓子職人のグループが農家へ収穫体験に訪れたことをきっかけに、消費量の伸び悩みや後継者問題など、両業種が直面している問題や現状に共感し合い、協力して盛り上げていきたいという思いでスタートした。「農×菓連携」をキーワードに現在、県内の生産農家17軒、和菓子処(どころ)16店舗が参加している。
金沢市を中心とした県内の和菓子店では7月1日を「氷室の日」としており、氷室まんじゅうを販売するのが初夏の風物詩。同プロジェクトでは、今年から新たに「夜舟の日」を石川県の「食の歳時記」に加えたいという思いで、今回の企画を立ち上げた。金沢市には、通常のお盆より1カ月早く墓参りを行う「新盆」という独特の文化があり、墓参りにはおはぎを供える人も多い。おはぎは季節ごとに呼び名が変わり、夏は夜舟と呼ばれることから、「夜舟の日」を発信していくことで石川県の食文化に厚みを持たせ、独自の和菓子文化を定着させていきたい考え。
県内で生産した農産物を、生産者が直接和菓子店にプレゼンテーションし、創作和菓子として和菓子店13店舗がオリジナル夜舟を販売する。夜舟には県内産農産物を1つ以上使うことを条件に、能登ブルーベリーや枝豆・湯あがり娘、金沢ゆず、味平かぼちゃなど地物野菜や果物、もち米などがふんだんに取り入れられている。和菓子店の場所にちなみ、「能登夜舟」「金沢夜舟」「加賀夜舟」の3つに分け、価格は152円~540円で販売する。
同プロジェクトの宮向健也さんは「夜舟が新しい夏の風物詩として多くの方に愛されるよう、農家も菓子職人も創造力を駆使して作った。夜舟の日が将来的にもずっと続き、石川の食文化が未来へ続いていくように、バラエティー豊かな夜舟の数々を賞味いただきたい」と話す。
販売は16日まで。販売場所は「お菓子処 佐吉庵」「御菓子司 八野田」、道の駅「のと千里浜」(以上、羽咋市)、「御菓子司 たにぐち」(宝達志水町)、「粟森梅月堂」「なかざき生菓子店」「御菓子司 つば屋」「御菓子処 美福」「農家屋かわに 金沢百番街あんと店」(以上、金沢市)、「六星 すゞめ」、アピタ松任店(以上、白山市)、「菓子工房 日本堂 五彩庵(あん)」「御菓子 中村屋」(以上、能美市)、「のむら農産」「河田ふたば」(以上、小松市)、「小山芳月堂」(加賀市)。