金沢市文化ホールの(高岡町15)3階大会議室(TEL 076-223-1221)で8月27日、国際シンポジウム「暮らしと自然と文化的景観」が開催される。主催は金沢大学地域政策研究センター。
日本での「文化的景観」とは、地域における人々の生活またはなりわい、当該地域の風土により形成された景観地で国民の生活や仕事の理解のため欠くことのできないものと定義されている。2010年には金沢でも重要文化的景観の指定を受けており、自然や風土と共生する生活やその舞台となる風景は重要なものとなっている。
一方で、歴史の過程で変化し、これからも変化するであろう人の暮らしや自然、その関係を表彰する風景を実際にどのように保全・活用するかが課題とされている。同シンポジウムでは、同分野の先進地であるイタリアの政策担当者やアメリカの景観建築の研究者を招き、地元の事例を交えて議論する。
シンポジウム前の同25日・26日には、大学院生がエクスカーション(体験型見学)として能登と金沢の文化的景観の現場を視察し、素材を整理・報告して、シンポジウムで議論を深める。この分野で国内の議論をリードするエコロジカル・デモクラシー財団や、生物文化多様性の研究ネットワークを継続的に構築している国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット、里山里海の文化的景観に実践的に関わっている金沢大学能登里山里海研究部門と連携し、このテーマの議論を継続していくためのプラットフォームの構築につなげていく。
金沢大学地域創造学類・助教の丸谷耕太さんは「文化的景観は市民の一人一人が関わって形成されていく風景。研究者だけでなく、地域で活動している方や金沢・能登で生活している方にも参加いただきたい」と話す。「普段の生活が文化や自然の連環の中にあることを改めて気づき、その風景の在り方についてともに考える機会になれば」とも。
開催時間は9時30分~16時15分(9時開場)。参加無料。申し込みはホームページで受け付ける。