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アートで病院を快適に-金沢美大生による「待ち時間を豊かにする椅子」展

出展された「待ち時間を豊かにする椅子」

出展された「待ち時間を豊かにする椅子」

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 金沢美術工芸大学(金沢市小立野5)の学生がデザインした「待ち時間を豊かにする椅子」の展覧会が9月22日、金沢市立病院(平和町3)で始まり、患者らが座り心地を試している。

出展された「待ち時間を豊かにする椅子」

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 同大と同院は無味乾燥な病院内にアートで癒やしと楽しみを創り出し、患者の内面から病気やけがの治癒を後押しする「ホスピタリティ・アート・プロジェクト」を推進している。同院の高田重男院長が発案し、同大に協力を依頼して2009年度から実施している。

 学生たちはこれまで待合室のガラス窓をステンドグラス風に飾りつけたり、患者や医療スタッフの似顔絵を描いたりと、さまざまな企画を実施してきたが、今回はより実用性の高い待合室の椅子のデザインに取り組んだ。

 出品したのは、デザイン科製品デザイン専攻の3年生18人。患者らの要望も採り入れた作品は、待合室を華やかにするピンクや黄色、オレンジ、緑など色鮮やかなものが多く、形もナースキャップやイチョウの葉、花、折り紙、天女の羽衣をモチーフにしたものなど、さまざま。どれも1人用で、それぞれ肘掛けやつえ立てを付けたり、かばんや雑誌を置くスペースを設けたりするなど、長い時間でも疲れを感じずに過ごせる工夫を凝らした。

 中には、ハンモックをイメージして、パイプに伸縮性のある生地をかぶせたユニークな椅子や、待ち時間に退屈しないように、後ろ半分にだけロッキングチェアの機能を持たせたアイデア製品もあり、座った患者や医師、看護師らを笑顔にさせた。

 同大3年の松浦泰明さん(21)は「待ち時間をポジティブに過ごしてもらえる、面白いものをと考えた。小さなおばあさんが座って『いいわ』と言ってくれたので、うれしかった」と顔をほころばせ、同、島葵さん(21)は「将来は家具デザインの仕事をしたいと思っている。看護師さんたちから座面が低すぎると立ち上がるのが大変だと教えてもらい、勉強になった」と話す。

 同プロジェクトの座長を務める横川善正同大学長補佐は「ホスピタリティ・アートはほかの科学とは違い、目に見えて効果が現れるわけではないが必要だ。しんどい思いをして待っている時に、椅子から温かい思いやりや寄り添いの心を感じてもらえれば」と、その意義を語る。高田院長は「アメリカの病院では、美大を卒業した職員が患者が安らげる空間づくりに取り組んでいる。椅子は非常に良いテーマ」と開催を喜ぶ。

 10月7日まで。

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