金沢湯涌夢二館(金沢市湯涌町、TEL076-235-1112)は地元のアート作家と連携し、美人画で知られる画家で詩人の竹久夢二(1884~1934)が手掛けた楽譜「子守唄(うた) 金乃鳥」の表紙絵の複製をシルクスクリーンで制作した。初版は20部限定で、11月15日、同館オリジナルグッズとして販売を始める。
「子守唄 金乃鳥」はドイツ人のマックス・リーガー作で、国内では1924(大正13)年、セノオ音楽出版社が楽譜にして出版した。夢二の手による表紙絵は、歌詞に合わせて、幼い金髪の兄妹がナシの木に止まった金の鳥の歌を聴いている場面を描いている。
同館によると、夢二は生前、子どもをモデルに童話の表紙絵や挿し絵、子ども向けの劇の背景画を描いたが広くは知られていない。このため、同館では、「美人画ばかりでなく、子ども絵も優れていることを発信したい」と複製の制作を思い立った。
制作は「金沢湯涌創作の森」(北袋町)のスクリーン工房でスタッフを務めるアート作家笠島暢子さん(金沢市在住)が担当。シルクスクリーンで、スカートや服のレース、鳥の羽に赤色、髪やズボン、鳥の体、ナシの実に黄色、帽子やジャケットに青色を配したカラフルな原画を6色刷りで再現した。特に、色の調整には細心の注意を払い、幾度も同館に足を運んで原画と刷った色を見比べ、忠実に表現できているかを確認しながら仕上げたという。
複製の大きさは、原画よりも縦横とも2センチ大きい縦33センチ、横24.5センチ。ベージュがかった「古色」とクリーム色の2色があり、各10部用意した。額に入れて部屋などに飾ることができる。価格は1部3,800円。
楽譜「子守唄 金乃鳥」は現在、同館で開催中の特別展「セノオ楽譜 夢二が描いた名曲の数々」で展示中。同館では、第2弾の複製制作を予定しており、現在、来場者にどの作品を希望するかアンケートをとっている。
太田昌子館長は「複製を作るのは初めてだが、非常に良い出来になった。金沢には、素晴らしい技を持ったアート作家がたくさんいるので、その技と夢二の素晴らしさが全国に広まっていけばうれしい」と、来館者の反応に期待を込める。
開館時間は9時~17時30分。入場料は、一般・大学生=300円、65歳以上=200円、高校生以下無料。同展は2011年4月3日まで(12月13日~22日は展示替えのため休館)。