金沢湯涌夢二館で10周年記念展-永遠の恋人描いた「湯の街」も展示

他万喜を描いた水彩画「草わけの家」。夢二最初期の代表作として知られる

他万喜を描いた水彩画「草わけの家」。夢二最初期の代表作として知られる

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 美人画で知られる画家・竹久夢二の作品や生涯を紹介する金沢湯涌夢二館(金沢市湯涌町、TEL 076-235-1112)で4月16日、開館10周年を記念した特別展「岸たまき 夢二の妻とその郷里・金沢-夢二を世に出した女性とは-」が始まった。

「永遠の恋人」彦乃をモデルにした「湯の街」

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 岸他万喜(たまき)は金沢市味噌蔵町生まれの女性で、最初の夫と死別後、まだ無名だった夢二と出会い、明治末期に一世を風靡(ふうび)した「夢二式美人」のモデルになった。日本画の基礎について教えたり、絵の具の下準備をしたりと、夢二を画家として成功させるため力を尽くした糟糠(そうこう)の妻でもある。2人の結婚生活は2年しか続かなかったが、3人の男の子をもうけている。

 特別展では、初期の代表作として知られる、新婚当初の他万喜を描いた水彩画「草わけの家」や、夢二、子どもたちとの家族写真、雑誌に掲載された自筆原稿「夢二の想出」、遺愛の品など約80点を展示する。原稿には、「二人は一生懸命勉強して画筆で立つ決心をしていました」と、結婚にあたっての決意が記されており、夢二が描く女性像そのままに、目の大きなたおやかな美人だった他万喜が、実は夫を二人三脚で支える先進的な女性だったことを知ることができる。

 同館は常設展示も一新し、永遠の恋人とされる彦乃を描いた名作「湯の街」も公開した。「湯の街」は、夢二が恋人・彦乃らとともに湯涌温泉で過ごした「人生最良の時」(同館)に手掛けた水彩画。旅館2階の欄干(らんかん)にもたれる彦乃をモデルにしており、背景に当時の温泉街の様子が見てとれる。同館が昨年6月に購入し、同10月に1日限定で公開したが、今回は5月末まで展示する。その後はレプリカに代えるという。同温泉で筆をとった水彩画「あけび」、自作の詩の折り本「臨河帖(りんがじょう)」も公開した。

 併せて、「湯の街」や、他万喜・彦乃ら夢二が愛した女性たち、かつての温泉街の風景など、12種類の写真を使った絵はがきセット(800円)も発売した。

 同館学芸員の山田優子さんは「金沢、湯涌と夢二とのかかわりを知ってもらいたいとの思いから、特別展で金沢生まれの他万喜を紹介した。常設展示室でも、当時の湯涌温泉の写真を壁紙に使っているので、『湯の街』と併せて見ていただきたい」と話す。

 開館時間は9時~17時30分。観覧料は、一般=300円、65歳以上=200円、高校生以下無料。6月27日まで。

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