加賀百万石・前田家の居城として知られる金沢城跡が、近く国史跡に指定される見通しとなった。金沢城は城下町金沢のシンボル的存在であり、石川県と金沢市などがユネスコの世界遺産登録を目指して力を入れる「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」の暫定リスト入りにも弾みが付くものと期待される。
金沢城跡は東京ドームおよそ6個分の28.5ヘクタールの広さがあり、天守閣や二の丸御殿は焼失したものの、石川門や三十間長屋などの重要文化財が残るほか、平成に入り菱櫓や五十間長屋、橋爪門続櫓が復元され、金沢城公園として一般に開放されている。また、「石垣の博物館」とも呼ばれる多様な石垣の遺構は、石垣建築技術を総合的に解明する上で、高い学術的価値を持つ。
このほど開かれた文化審議会では、金沢城跡を「石垣などが良好な状態で残り、近世大名の政治権力、築城技術を知るなかで重要」と評価し、他の6件とともに国史跡への指定を渡海文部科学大臣に答申した。指定範囲は、金沢城公園内の国、県、市有地を合わせた27.5ヘクタールで、近く答申通り指定される見通し。
金沢城跡は、昨年1月、「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」が世界遺産暫定リスト選定の継続審議となった際、文化庁から史跡指定を受けていない点を指摘された経緯がある。しかし、今回の国史跡指定により、今年夏の暫定リスト選定を前に課題のひとつがクリアされる格好となる。
金沢城公園では現在、石川門、橋爪門と並んで三御門と呼ばれた河北門の復元と、城の南に位置する「いもり堀」の段階復元に着手している。いずれも、2014年の北陸新幹線金沢開業に向けた魅力あるにぎわいの空間づくりの一環で、金沢城跡の国史跡指定によって「2014年対策」にもさらに追い風となりそうだ。
兼六園の花見客が急増-過去5年で最多の1日3万人超(金沢経済新聞)金沢城公園文部科学省文化審議会国指定文化財データベース