金沢市街を見下ろす里山にオープンした貸しギャラリー「ISOLA(イゾーラ)」(金沢市俵町、TEL 076-261-6621)で11月14日、ギャラリーオーナーで木工家具作家の尾田伊生(よしお)さんの作品展が始まった。
ギャラリー「ISOLA」の建物は、尾田さんが知り合いの大工や学生の協力を得て、工房の隣に手づくりで設けたもの。銀色のトタンで覆われた無機質な外観と、けい藻土の白い壁に囲まれた優しい室内空間の対照的なイメージが特徴。
「若いアーティストに発表の場として使ってもらい、自分はそのエネルギーをもらえれば」(尾田さん)と、光熱費などの実費のみで展覧会などのイベントに貸し出している。今回はオープン後2回目となるイベントで、尾田さん自身の作品60点と、かほく市のガラス作家西あゆみさんの作品60点が並ぶコラボレート展となっている。
尾田さんは石川県野々市町出身。23年前に現在の地に工房を構え、オーダー家具を制作販売している。「木それぞれの個性を生かすことが大切。作家性が木の個性に勝ることがあってはならない」というこだわりを持ち、「いくら造形が美しくても、手の届かない価格になっては魅力が半減する」と、価格とのバランスにも配慮する。
これまで国産の広葉樹を用いて家具を制作してきた尾田さんだが、今回は金沢市の森林組合からの提供を受けて初めてキリを材料に使った。柔らかく軽いキリは家具としては敬遠されることが多いが、尾田さんはこの性質を逆手にとり、ボリュームがありながらも持ち運びが容易なテーブルやいすを制作した。キリの伝統的な加工法である「焼き」を施し、漆で仕上げた温かな質感も特徴。尾田さんは「キリの魅力を十分に引き出せた」と話す。
営業時間は11時~19時。入場無料。今月23日まで。