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町家シェアのフランス古書専門店が挿絵画家の企画展 飾る楽しみ提案も

フランスでプロの製本装丁家として活躍してきた店主の清宮伸子さん

フランスでプロの製本装丁家として活躍してきた店主の清宮伸子さん

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 フランスの挿絵画家の企画展が3月3日から、金沢城公園近くの古書ギャラリー「書架の周辺」(金沢市大手町)で開催される。

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 店主の清宮伸子さんは埼玉県出身。単身渡仏しで出合った製本装丁の世界に引き込まれ現地で修業した。コレクターが何十年もかけて探した100万円を超える初版本や作家同士の書簡などを預かり製本を任されるなど、フランスで20年以上製本装丁の仕事に携わってきた。業界の縮小化とこれからの自分の生き方を考え日本に戻ることを決意。母親と旅行で訪れたことがある金沢で新しい人生のスタートを切りたいと、昨年7月に移住した。伝統的な手仕事の製本と、沢の工芸に共通性を感じ、泉鏡花ら文豪も過ごした金沢の地が気に入ったという。

 10月には、町家をシェアする形で自分の好きな古書だけを集めたギャラリーを開店。茶室だった離れの部屋には、フランスで製本作業に使っていた大型裁断機やかがり台のほか、地球儀や手鏡、肖像画やオブジェなど清宮さんがフランスで集めた品を展示する。店名は、本を中心に骨董(こっとう)品などを並べ、自分だけの居心地のよい空間をめでて楽しむフランスの文化そのものを紹介したいと、「書架の周辺」と名付けた。文学や本が好きな人が交流する場を目指している。

 3月3日から開催する企画展では、日本でも人気のある19世紀の挿絵画家グランヴィルを紹介。清宮さんは「グランヴィルは幻想や妄想が入り交じった独特の画風が特徴で、風刺画家としての評価も高く、熱烈なコレクターがいる。一部が破損しているために製本できない古書にも価値があることを知ってもらい、挿絵や紙の風合いなどを楽しんでもらうきっかけになれば」と話す。

 清宮さんは、状態のよい絵をそのまま額に入れて飾るだけではなく、破れたり汚れたりして傷んでいる部分もコラージュすると、新しい作品として生まれ変わる楽しみを提案。会期中は、フランスの古いデザインペーパーなどを入れた装飾キットも販売する。

 開催時間は13時15分~17時30分。月曜・火曜・水曜休催。3月20日まで。

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