現代作家の作品を展示するギャラリー「ガレリアポンテ」(金沢市里見町)で1月16日、野町からの移転を記念するリニューアルオープン展が始まった。
2008(平成20)年に野町で開館した同ギャラリーの店主は金沢美大出身の本山陽子さん。本山さんによると、「普遍性がありながらも現代を俯瞰(ふかん)できる作家や作品」を企画展という形で展示しているという。建物の老朽化から移転先を探していたところ紹介を受け、竪町の裏通りにあるビルを昨年12月からリニューアルしてきた。駐車場だった空間に壁を作り、前面をガラス張りにして、通りがかった人も展示を見ることができるようにした。ギャラリー名はイタリア語で「橋」という意味。本山さんは「作品を通して離れた土地を結び付け、感情や記憶といった精神的なものに対しても架け橋となるような場にしたい」と話す。
同展で紹介するのは、金沢在住のインスタレーション作家・山本基さん。若くしてこの世を去ったという妻や妹との思い出を忘れないために作品を制作しているという山本さんは、浄化や清めを連想させる塩を使い波やレースを思わせる模様を床全面に描く。「STRAIT―海をわたるー」と題した今回の展示では、これまでの作品で用いた塩を混ぜ合わせて使い「架け橋」でありたいと願う同ギャラリーのリニューアルを祝い、制作の様子も公開した。山本さんは「作品として残らないインスタレーションのはかなさが、今見ておかなければという気持ちにさせる。『今』という時間を大切に感じてもらえれば」と話す。
ガラスやキャンバス、和紙に描いたアクリル絵の具作品も展示。最終日にはインスタレーション作品を鑑賞者と一緒に壊し、その塩を海に返すプロジェクトを予定している。
開館時間は11時~18時。水曜休館。1月30日まで。