金沢・東山のシェア型町家「LOCOLOCO higashi(ロコロコヒガシ)」(金沢市東山1)に、県外企業やUターン者らの入居が相次いでいる。
【VRで読む】東山のシェア型町家「LOCOLOCO higashi」
同町家は2016(平成28)年からショップやオフィスなどの入居を募り、これまでにカフェ「colocolo cafe」、加賀友禅をまとったこけしの絵付け体験ができる店「金澤こまち」、ハンドメードアクセサリー店「piñata(ピニャータ)」がオープンした。
一方でオフィス利用は進まなかったが、今年に入り5月に「清森達士映像デザイン事務所」が入居。7月にデザイン会社「アプリコットデザイン」(長野県長野市)が新たな拠点として、8月にアクセサリーの企画・販売を行う「コレット」(兵庫県神戸市)がアトリエとしてそれぞれ入居した。
清森達士映像デザイン事務所の清森達士さんは、金沢市出身の映像デザイナー。東京を中心に活動していたが、Uターンして制作や打ち合わせの場として事務所を設けた。「東山に住めたらいいなと漠然と思い描いていたところ、入居者募集を知ってすぐに決めた。静かで集中して仕事ができ、合間には浅野川や裏路地を散歩してリフレッシュもできる。とても満足している」と話す。
アプリコットデザインの社長 中村弘樹さんは十数年前に金沢を訪れた際、街中で見掛けるポスターやパンフレットなどのデザインの良さに引かれて「いつか金沢で仕事ができたら」と思うように。さまざまな業種が入居するスタイルに面白さを感じ、入居を即決した。「和気あいあいした雰囲気で心地よい。デザイナーの仕事はハードだが、自由に楽しく働ける環境を整えられたら」と話す。
同町家を運営する「コロコロエンタープライズ」(安江町)の高橋佳寛さんは、「東山に拠点を持つことが新しい流れだと感じている。ここ数年、場所や時間にとらわれない働き方が注目を集めているが、そんな社会の変化と入居者の皆さんのニーズがマッチしたのではないか」と話す。同町家では残り2室の入居者も募集しており、「今後もさまざまな形での利用が増えていけば」と期待する。