85度でも溶けない「熱いソフトクリーム」を10月10日、金沢の「日本海藻食品研究所」(金沢市本江町)が開発した。
常温でも1時間できたての形を保つ「溶けにくいソフトクリーム」を2009年に開発して以降、65度でも溶けない「ホットソフトクリーム」、卵や牛乳を使わない「溶けにくいソフトクリーム」など、ユニークなソフトクリームを生み出してきた同社。これまでは米粉の性質を利用して「溶けにくさ」を実現してきたが、今回は全く異なる視点から、高温になっても溶けにくいソフトクリームを開発した。
基本の材料は野菜や果物、豆類などで、特に食物繊維が多いサツマイモやジャガイモなどが適しているという。これらをペースト状にしたものを専用の機械にセットして絞り出すだけで完成する。冷たいペーストだと冷たいソフトクリーム、電子レンジで温めたペーストだと熱いソフトクリームが出来上がる。熱くなると85度を超えて湯気が立つこともあるが、そのままの形を保つという。生クリームや牛乳、砂糖などを加えて、味や食感などを調整することもできる。
各地の特産物を使い、規格外品の活用もでき、地産地消に貢献できるのが特長。ペーストは1食分ずつ専用の容器で保存でき、食材を無駄なく使うことも可能。専用の機械はソフトクリームメーカーを改良した安価でコンパクトなもので、飲食店などでも手軽に導入できる。高温に耐えられるコーンがないため、今後開発していく考えだ。
同研究所会長の白石良蔵さんは「これまで絞り出しが難しかったが、専用の機械に出合ったことで、新しい発想で開発することができた。ここ10年で一番の自信作」と顔をほころばせる。「冬場のイベントやスキー場などで『熱いソフトクリーム』を楽しんでもらえたら」と期待を寄せる。