途上国の子どもに映画を通じ支援を行うNPO法人「World Theater Project」の北陸支部が4月に発足し、それを記念したトークイベントが6月4日、開催される。
同法人は東京に本部を置き、関西支部に次いで北陸支部が設立された。発展途上国の電気すらない地域にプロジェクターや発電機、スピーカーなどの上映機材を運び、映画体験を通して子どもたちの心を育み未来を切り開く力を与える「移動映画館事業」を行う。現時点で、カンボジア国内の200カ所以上の村で3万人を超える子どもたちに映画を届けてきた。
国内では「先進国の人が映画を楽しんだら、途上国の子どもに映画が届く」仕組みとして「映画イベント事業」を行い、映画上映のほか、現地の活動が体験できるカンボジアへのスタディーツアーなども開催。その収益を海外での活動に充てる。
北陸支部代表の金原竜生さんは設立の理由について「石川県は人口に対する映画スクリーン数と座席数換算が全国で最も多い」というデータを掲げ説明する。「かつて、全盛期には金沢の中心部・香林坊界隈に映画館が10館並び、シネマストリートと呼ばれていた文化があった。行政や石川の人たちこそ意識していないが、いわばここは映画県。映画の良さが古くから根付いている文化を、活動を通してもっと認識してもらいたい」と話す。
国内で行う映画イベントの統括リーダーも担う金原さん。これまで関西を中心に、映画に登場する料理を再現する人気企画「映画メシ」などを手掛けてきた。今後は北陸でも同イベントを展開していきたいという。
金原さんは、映画文化が根付く石川でも「かほく市から先の能登地方には映画館が一つもがない」とも注目する。過去には、映画館のない三宅島などで移動映画上映を行った経緯も。「将来的に能登や北陸地方の映画を身近に感じることが少ない地域で上映会を行い、人が集まる機会を設けることで、人と人をつなぎ合わせるお手伝いや町おこしにつなげられたら」と話す。
北陸支部1回目の活動となるトークイベントは6月4日、「金沢学生のまち市民交流館・交流ホール」(片町2)で開催する。同法人の活動報告や映画について参加者同士で話し合う懇親会などが予定されている。開催時間は14時~16時。参加費=500円。申し込みは5月30日まで、ホームページで受け付ける。