金沢21世紀美術館(金沢市広坂1、TEL 076-220-2800)で11月21日、企画展「廣村正彰『金沢でJunglin'(ジュングリン)』おぼろげ」が始まった。
商業施設や美術館のサインデザインなどを手掛けるデザイナー・廣村正彰さんが2010年から始めた映像インスタレーションプロジェクトの金沢版となる同展。「Junglin'」は「順繰り」に「ing」を付けた造語で、日々の繰り返しの中で何気なく眺めている行為や風景を、いつもとは異なる視点で提示することで新たな気づきを生み出すという。
廣村さんは金沢を代表する風景として「兼六園」「ひがし茶屋街」「金沢21世紀美術館」をピックアップし、今夏の雨の日にそれぞれ4Kカメラで撮影。各所を3分ほどにまとめ、全体で約10分の作品に仕上げた。映像は「はっきり見えるもの」として雨粒、「移り変わるもの」として人の動き、「記憶の中の風景」としておぼろげな景色の3つで構成される。人の動きは映像を分解し、砂嵐のように表現した。
兼六園では、朝早くからツアーバスで訪れる観光客の波を捉え、いつもとは違う同園の表情を見ることができる。ひがし茶屋街では、昔ながらの街並みに対して、花が咲いたように揺れる傘や夕刻の茶屋から漏れる明かりが美しいコントラストを見せる。21世紀美術館では、アート作品と触れ合う人の姿を捉えながら、その場の空気感を伝える。
廣村さんは「制作の中で、北陸新幹線開業を機に観光客の数がグッと増えた新しい金沢を感じた。私たちは風景を普段どのように見ているのか、また見落としているのか、本展を通じて体験してほしい」と来場を呼び掛ける。
開催時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。期間中の休館日は月曜(1月11日・3月21日・5月2日は開館)と、12月29日~来年1月1日・12日、3月22日、5月6日。入場無料。5月8日まで。