金沢駅・兼六園口近くに2月6日、大正末期の町家を改装した日本料理店「金澤 一乃松」(金沢市本町、TEL 076-232-5578)がオープンした。
築100年の町家の改装を手掛けたのは「金澤まちづくり公社」。「100年前を復元し100年後に継承する」をコンセプトに古いものを生かしつつ新たな息吹を吹き込み、金沢の魅力向上を目指す。同社の町家改修・活用事業は、市の「金澤町家賃貸借モデル事業」にも認定されている。
「茶の湯と数寄屋」の雰囲気を追求した2階建ての同店の店舗面積は約50坪で、カウンター席のほか小上がりや茶室風の個室、座敷など45席を設ける。駅近という立地だけに観光客の利用も見込むが「地元の人に愛される店でなければ、県外や世界にも発信できない」と同社代表でプロデューサーの安久豊司さん。
玄関先からつながる床には戸室石を敷き詰め、しっくいの白壁や漆塗りの腰板、銀箔(ぎんぱく)を燻(いぶ)すなどの方法で酸化させた黒箔の壁など、随所に趣あるしつらえを施す。地下の室(むろ)を貯蔵庫として利用するほか、階段や柱なども大正当時の姿を残しながら最新の技術により現代生活に通用する快適性にもこだわる。1階には坪庭を備えた数寄屋風のカウンター席のほか茶室風の個室や小上がりなど、2階には朱塗りの壁を施した二間続きの座敷とあんどん格子の板の間を備える。
金沢を中心に日本料理店で20年以上のキャリアを持つ料理長の藤井壽人さんが、地元産を中心に全国各地からえりすぐった食材で季節ごとの料理を提供する。ランチのコースは2,850円(サービス料別)、ディナーのコースは雪(7,000円)・月(9,000円)・花(12,000円)(税・サービス料別)を用意する。アラカルトには地元の珍味から「料理長の遊び心あふれる」多彩なメニューをラインアップ。藤井さんは「カウンター越しにじかにお客さまと対応するのは初めて。オープンから1カ月たつが、お客さまから学ぶことも多く手応えも感じている」と意気込む。
営業時間は11時30分~14時30分、17時30分~22時。