石川県立伝統産業工芸館(金沢市兼六町、TEL 076-262-2020)で現在、企画展「金沢・岐阜 ふたりのワガサシスト展」が開催されている。
100以上あるといわれる和傘の制作工程。かつては各産地で全ての工程を行っていたが、現在では金沢でも他の産地と同じく、傘骨やロクロなどのパーツは岐阜からの供給により成り立っているのが現状だという。
同展は、金沢で和傘制作に携わる山田ひろみさんと日本中に和傘のパーツを提供する岐阜で、長年の経験を積む職人・田中富雄さんの手仕事を通じて和傘の制作工程を紹介し、和傘作りの現状と課題を伝える内容。
和傘の張り師である田中さんは「金沢和傘伝承研究会」の設立時から技術指導を行っており2012年、山田さんと共に「工房明兎(みんと)」を設立。会場には傘骨の美しさを紹介するため、江戸時代末期に流行した「松葉」を展示する。
会期中の関連イベントとして、田中さんと山田さんが和傘作りを実演し来場者と交流の場を持つ実演会(7月5日、9時30分~16時30分)や、2人が講師を務め来場者が和傘の内側を彩る「かがり糸」に挑戦するワークショップ(7月6日、10時~15時。参加費は、かがり体験のみ=2,500円、自作の和傘を持ち帰れる「my和傘かがりコース」=2万円)を予定する。
「一人でも多くの人に和傘を知ってもらうため、日々活動している。『和傘志主人(ワガサシスト)』はわれわれの造語。志=いい傘を作り伝統を後世に伝える志、主=和傘の持ち主自身が主人公」と田中さん。山田さんは「雨をはじくための油を引くことにより、風合いが変わる和傘。自然光での透け感はマジックのよう。ぜひ、手に取って和紙の透け感や油の香りを体感してもらえれば」と呼び掛ける。
開館時間は9時~17時。第3木曜休館。ワークショップへの参加は予約が必要。同展は7月31日まで(最終日の閉館は15:00)。