金沢の「しいのき迎賓館」(金沢市広坂)ギャラリーBで現在、企画展「九谷焼+輪島塗=KyuWa~情熱的工芸」が開催されている。
九谷焼の東龍知右門さん(金沢市)と輪島塗の中山強さん(輪島市)がコラボする新ブランド「KyuWa」を紹介する同展。九谷焼の「九」と輪島塗の「輪」を合わせて名付けた。熟練の技法を生かしつつ、現代のライフスタイルに合ったアイテムや価格を実現する。
高級嗜好(しこう)品であったこれまでの伝統工芸を見直し、一般消費者が求めやすい価格とデザイン、使いやすさを考え、8年前から試験制作や販売企画を準備。東龍さんの提案により、各地の東急ハンズでギャラリー展開を行うほか、大手百貨店や飲食店でもPR活動を進めてきた。
「KyuWa」が目指すのは、伝統工芸でもなく既製品でもない「手を感じるモノづくり」だという。東龍さんが制作した陶器に、中山さんが塗りを施して作品を仕上げる。「扱いにくい」というイメージを持たれがちな漆器だが、土台を陶器とすることで耐熱性を持たせた。価格は湯のみ=5,000円、合鹿椀=8,000~1万円など。
会場には、「KyuWa」から約40点、九谷焼(東龍さん)から約40点、輪島塗(中山さん)から約30点の作品が並ぶ。見た目は漆器だが手に取ると陶器という意外性も、来場者の注目を集めている。今後は職人技による「品格ある庶民の雑貨」としてブランド展開する予定で、東急ハンズへのギャラリー出展のほか、タイなど海外向け事業も視野に入れる。
中山さんは「陶器に漆を塗るに当たり、初めは密着度など心配したが、案外スムーズに制作できた。漆器と違い陶器は重さがあるので、作業は体力勝負」と振り返る。東龍さんは「若い人にこそ、ぜひ手に取って見てもらいたい。伝統産業の豊かな石川県自体を元気にしたい」と意気込む。
開場時間は10時~18時。6月1日まで。