金沢市の商業施設「ラブロ片町」(片町2)で10月10日、閉店売りつくしセールが始まった。同店と、かつて同ビルで営業した香林坊大和が来年3月16日の閉店まで、週替わりで婦人衣料などを販売する。
同ビルは1957(昭和32)年、百貨店「大和」の本店として建てられた。1972(同47)年に増築工事を行い、10階建ての現在の形に。ラブロ片町は同店が香林坊に移転した後の1986(同61)年11月27日にオープンし、営業を続けてきたが、建物が老朽化したことなどから、取り壊し、地権者で組織する組合が跡地を含む約6000平方メートルの敷地で地上5階建ての新たな商業施設を建設することになった。
セールでは1階・2階を特設会場とし、27年ぶりに「里帰り」した香林坊大和が週替わりで衣料約5万着、アクセサリー、婦人靴、ハンドバッグなどを並べる。初日の10日は買い物客がブラウスやジャケットを品定めしていた。同17日からは女性向けブランドの商品を特別価格で販売する。
店内では同時に、明治から昭和までの片町や、同ビルで営業していたころの大和などの写真を集めた「なつかしの写真展」が始まった。木造瓦ぶきの商店が軒を並べる片町商店街が白黒写真にとどめられており、来店客たちが思い出話をしながら見入っていた。
このほか、洋画家高光一也さんが揮毫(きごう)したエレベータードア、アンモナイトの化石を含んだ大理石製の階段手すりも見ることができる。
衣料品メーカーの社員として約30年前まで毎月、同ビルを訪れていたという東京都在住の男性(68)は「懐かしい建物がなくなるのは寂しい。存在感があり、片町通りのメーンだった。昔の記憶があるから、取り壊し前に見ておこうと思って来た」と、名残を惜しんでいた。
新しい商業施設は2016年春のオープンを予定している。全て賃貸床で、1~3階には小売店が入り、4.5階はブライダル施設となる。
ラブロ片町の営業時間は10時~19時。