作品がない?アート展-能美在住アーティストが金沢で新作発表

上出さんの新作が展示されているアートスペース

上出さんの新作が展示されているアートスペース

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 能美市在住のアーティスト・上出惠悟さんの個展「Para:sides side B」が1月10日より、アートスペース「pARa:siTe(パラ:サイト)」(金沢市松寺町子 G-WING’S内、TEL 076-238-0788)で開催されている。ところが、作品が展示されているのに気付かずに会場を後にしてしまう人が続出している。

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 もともと倉庫として使用されていた同スペースは、新作インスタレーションが行われているはずなのに、一見したところ、まるでもぬけの殻。コンクリートの壁に囲まれた約5畳分の空間はがらんとしている。しかし、作品はちゃんと展示されているのだ。天井に。

 上出さんは明治12年創業の九谷焼窯元・上出長右衛門窯に生まれ育ち、九谷焼を素材に新境地を開拓するアーティストとして注目されている。昨年同スペースで行った初個展では、同窯の生地を使用して制作した「甘蕉(ばなな)」シリーズの発表を行った。

 同スペースでの新作発表というテーマを与えられた上出さんが、新たなモチーフとして選んだのは蛍光灯だった。初めて同所を訪れた際、「蛍光灯のための部屋だというくらい、蛍光灯が印象的だった」(上出さん)ことから、同窯の生地を使い、九谷焼の蛍光灯を制作した。作品は会場の天井に取りつけられ、床から別の照明器具でライトアップされている。よくよく見れば、商品名や型番がアルファベットや数字で書かれているはずのところには、染付の縦書きの和書が。それに、「蛍光灯」はまっすぐではなく、わずかに弧を描いている。

 「技量が足りず、どうしても微妙な曲がり具合が出てしまったが、その稚拙な感じや決して洗練されきっていない現状を、今はそれでよしと思っている。甘蕉の作品も、作り始めたころはへたくそで、今見ると恥ずかしいが、それ故の良さがあり、作って行くことで失われるものもある。蛍光灯の作品も、今だけの妙さをこれから大事に育てていきたい」(上出さん)。

 別の表現形態をとった、もうひとつの蛍光灯をモチーフとした作品も、隣接するG-WING’Sギャラリー内に「展示」されている。

 営業時間は10時~17時。同展は2月8日まで。

九谷焼の新境地開いた「白いバナナ」-上出惠悟さんが初個展(金沢経済新聞)上出長右衛門窯G-WING'Sギャラリー

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