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金沢で「町家巡遊」スタート-寺町の雑貨店では「台湾茶房」開く

乗越で開催された「台湾茶房」

乗越で開催された「台湾茶房」

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 金沢市内に残る町家を巡り、その魅力に触れるイベント「町家巡遊2011 ひと・わざ・暮らしの町家展」が9月24日、始まった。初日は寺町、増泉、野町、泉、本多町を含む「犀川エリア」で展覧会や料理教室、探訪会が行われた。

雑貨店「乗越」

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 主催は、建築家や研究者、市民らで組織するNPO法人「金澤町家研究会」。金澤町家とは、1950(昭和25)年以前に建てられた木造住宅のことを言い、金沢市が2008年度に実施した調査によると、市内には約6700棟が残る。しかし、毎年、200~300棟が取り壊されていることから、同研究会では市民にその快適さや面白さを知ってもらい後世に受け継いでいこうと、体験イベントを企画している。「町家巡遊」は今年で4回目。

 催しは「犀川」「浅野川」「港町」の3つのエリアに分け、10月9日までの毎週末に順に実施する。期間中、合わせて約50軒の町家が公開される。

 第1週の会場、犀川エリアにある雑貨店「乗越」(寺町2)では、24日・25日の2日間限定で「台湾茶房」がオープンし、3種類の台湾茶とお茶受けのウリとスイカの種、和菓子で来店客をもてなした。

 同店の建物は、今年で築103年目を迎える明治時代末期に建てられた民家。インターネットで全国の不動産物件を探していた横浜市出身の乗越もえぎさん(37)が「内部を自由に変えてもいい」という条件に引かれて出店を決めた。

 壁も畳もぼろぼろだったが、職人らに相談しながら、自力で2年をかけて壁1枚を取り払い、床を畳敷きからベンガラを塗った板張りに変え、白壁を塗り直して再生。雑草が生い茂っていた庭にも約5センチ四方のブロックを一つひとつ敷き、明るい雰囲気に一変。今年5月、念願の店を開いた。工事は知人や過去の町家巡遊参加者らも手伝い、その人数は約50人に上るという。

 日頃、店内に並ぶのは、北欧のネズミ捕りやハングル文字が入った韓国の封筒など、海外のスーパーマーケットで購入した生活雑貨。乗越さんは大手小売店のアルバイト店員として働いているため、営業は今のところ主に仕事が休みの水曜と土曜のみだ。今後、カフェを併設する予定で、「静かな場所にあるので、今日は誰にも会いたくないという人が来て、コーヒーを飲んでもらえるような店にしたい」と話す。

 自転車で来店した同研究会会員の杉浦幸子さん(86)は「若いころに古い家をどんどん壊してしまったが、私も壊さなければ良かった。木、そして昔の組み方が好き」と、柱をなでていた。

 町家巡遊ではこのほか、今川酢造(野町3)で寺子屋「天然醸造酢のおいしい料理教室」、ギャラリー「こうさく舎 くりくほ」(泉3)で「みんなで持ち寄る泉かいわいの今昔写真展」などが行われた。探訪会「寺町ハイカラツアー」もあった。

 「浅野川エリア」は10月1日・2日、「港町エリア」は同8日・9日に開催する。スケジュールの詳細は同研究会の情報サイト「かなざわ町家」で確認できる。

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