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浅野川周辺で「かなざわ燈涼会」-町家を工芸ギャラリーに開放

町家の和室に並べられた中嶋さんと稲見さん夫婦の作品

町家の和室に並べられた中嶋さんと稲見さん夫婦の作品

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 「かなざわ燈涼会(とうりょうえ)」が7月29日~31日、金沢市のひがし、主計町(かずえまち)両茶屋街と下新町、袋町周辺で開かれ、市民や観光客らが工芸ギャラリーとして開放された町家や寺院などを巡った。

アジサイやチョウを描いた小皿。額に入れ、壁にかけて鑑賞する使い方も提案した

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 燈涼会は金沢青年会議所が県内外から観光客を呼び込み、地元経済を活性化させようと開催した。浅野川周辺の趣のある町家で工芸作品を展示する「浅野川工芸回廊」、照明オブジェやキリコで夜の街をライトアップする「浅野川月見光路(つきみこうろ)」、寺社での野外公演「浅野川コンサート」、食のイベント「趣膳食彩(しゅぜんしょくさい)」が繰り広げられた。

 このうち、工芸回廊では九谷焼や漆芸、金工、ガラスなどの作家が町家や寺院など18カ所を会場に作品を発表した。昭和初期ごろに建てられたとみられる下新町の佃食品社長、佃一成さん(72)所有の町家では、陶芸家の中嶋寿子さん(金沢市)と、木漆工芸の稲見浩幸さん、蒔絵(まきえ)を手掛ける妻、なつえさん夫婦(輪島市)が合同展「玉手箱」を開催した。中嶋さんは花生で壁を装飾し、稲見さん夫婦は和室の畳の上に高さの低い台を置き、石や金属の質感に似せて作った漆の「振り出し」やアジサイやチョウを描いた小皿などを並べた。

 1933(昭和8)年建築の主計町の山岸製作所会長、尾崎知恵子さん(60)所有の町家には、金沢卯辰山工芸工房の研修生有志16人がガラスのろうそく立てや指輪、漆塗りのオブジェなど約45点を展示した。「用の美」を追求する工芸品にとって、生活の場である町家は最高の舞台装置のようで、それぞれ床の間や畳の上で輝きを放った。来場者は畳の上にゆったりと座り、作品を鑑賞していた。

 真言宗源法院(主計町)では、日本建築家協会石川地域会が流しそうめんを実施。加賀友禅作家友野雅子さんの「鶴の恩返し」をテーマにした新作のれんなど13点も公開された。

 稲見さんは「町家では日常で使われている場面を想像しながら、作品を展示できる」と、工芸回廊の開催を歓迎し、なつえさんも「3人で話し合って展示の仕方を考えた。手作り感が味わえて楽しかった」と声を弾ませた。同工房ガラス工房の研修生、斉藤晃子さんは「すごく良い雰囲気だった。来年の展示も楽しみ」と、早くも1年後に期待を膨らませる。

 月見光路では、照明オブジェやキリコ、ペットボトルキャンドル計約1300基が宇多須神社(東山1)と久保市乙剣宮(下新町)、浅野川河川敷などに並べられた。このうち、宇多須神社には、金沢工業大学の学生が草原と金びょうぶに見立てて作った竹ひご製の「あかり草木」と富士山をイメージした「あかり山」が展示された。効果音として用意された琴と鈴の音が流れる中、浴衣姿のカップルや親子連れらが夜のそぞろ歩きを楽しんでいた。

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