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津波・地震に負けない道路・橋の再建を―金大教授ら土木学会調査団が被災状況確認

被災地の様子を話す宮島教授

被災地の様子を話す宮島教授

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 金沢大学(金沢市角間)理工研究域環境デザイン学系の宮島昌克教授(地震防災工学)らで組織する土木学会の調査団が現在、東日本大震災の被災地の被害を調べている。都市や社会基盤の再建に際し、津波や地震に打ち克つ構造を採用するためで、結果は同学会として報告書にまとめ、政府に提言する。3月31日には、宮島教授のグループ9人が宮城県に向けて出発した。

3月19日の宮城県女川町。屋上に車や船が乗るビル。波でなぎ倒された建物も(宮島教授提供)

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 土木学会は土木技術者と研究者、行政職員らで構成する全国組織。同大震災の後は、調査団を被災地に派遣し、▽津波の浸水範囲・高さ ▽交通インフラの被害 ▽海岸部・市街地の被災状況 ▽地震動による地盤破壊 ▽道路や橋、鉄道施設、堤防をはじめとする土木構造物の被害などを調査している。

 同学会地震被害調査小委員会の前委員長である宮島教授のグループは、現副委員長を務める幸左賢二九州工業大学教授(コンクリート工学)、廣岡明彦同大准教授(地盤工学)、新年度から同小委員会に加わる竹田周平福井工業大学講師(橋梁工学)らで構成し、まず橋と道路への影響を中心に見て回っている。今後は、宮島教授の専門であるライフラインの被災状況についても調べる。

 16日から21日までの一次調査では、大破した車が二重、三重に積み重なり、無残な姿をさらす仙台空港(宮城県岩沼市・名取市)周辺、コンクリート造りのビルが横倒しになり、別の建物の屋上には波で運ばれた車や船が残る女川町、山すそから海岸近くまで、一帯にあった全ての木造住宅が押し流され、残骸や木材が散乱する南三陸町などを訪れた。

 各地の道路の盛り土は波が引く際に大きく削り取られ、橋は橋げたが飛ばされていた。かつてインド洋大津波の被害調査に訪れたインドネシアのスマトラ島をほうふつとさせる光景で、宮島教授は「スマトラ島の被害をもっと知らしめることができていたら、もう少し何とかできたのでは」と自分を責める気持ちになったという。

 31日から4月5日までの日程を組む二次調査では、宮城県気仙沼市や岩手県陸前高田市、釜石市、宮古市を回る。

 調査の後は同島の津波のデータなどと比較し、被害のあった各場所での波の高さとスピードを推定。これを基に波の力に耐えられる道路や橋の構造を検討するという。4月11日には、地盤工学会との共催で、東京・目黒区の東京大学生産技術研究所で報告会を開催する。

 宮島教授は「一次は津波が来たらどこに逃げようかと、高い場所を探しながらの調査だった。地震に対しては耐震・免震構造があるが、津波に対応できる家の構造を考えられないだろうか」と話し、減災の方法に思いをはせた。

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