金沢ふるさと偉人館(金沢市下本多町、TEL076-220-2474)は3月12日、金沢市生まれの文化勲章受章者3氏を顕彰する新常設コーナー「近代美の巨匠たち」を開設し、リニューアルオープンした。
同コーナーで紹介するのは、「漆聖」と呼ばれた漆芸家・松田権六(1896~1986)と東宮御所や東京国立博物館東洋館などを手掛けた近代建築の巨匠・谷口吉郎(1904~1979)、北海道ノサップ岬の北方領土返還祈念シンボル像「四島(しま)のかけ橋」などを製作した金属造形作家・蓮田修吾郎(1915~2010)の3氏。
美術館ではない「偉人館」の性格上、大成する前の青少年時代の作品と遺品を中心に展示しており、松田氏が尋常小学校時代に描いた虫を狙うスズメの絵や、谷口氏がドイツを訪れた際に持参したライカ社製カメラとスーツケース、蓮田氏が石川県立工業高校の卒業製作として完成させた、藤の花の下で遊ぶ2頭のシカをデザインした屏風(びょうぶ)などを並べている。
この日はオープニングセレモニーが行われ、山野之義市長が来館者約70人を前に、「子どもたちに郷土の偉人のことを知ってもらい、金沢を誇りに思ってほしい。そのためには、我々大人が学べる環境を作っていかなくてはならない」とあいさつ。松田章一館長は新コーナーについて説明した。
この日は松田氏の長男邦夫さんと谷口氏の長男吉生さんが「父の素顔」と題して講演し、蓮田氏の長女沙千代さんも同席するはずだったが、3氏とも東京在住で、11日午後に発生した東日本大震災のため来県することができず、講演は延期された。
開館時間は9時30分~17時。入館料は、一般=300円、65歳机上=200円、高校生以下無料。