若松孝二監督の最新作「キャタピラー」の先行上映と、同監督のトークイベントが7月31日、金沢のシネモンド(金沢市香林坊2 KOHRINBO109 4階、TEL 076-220-5007)で行われた。
若松監督は、徹底した反権力の姿勢で映画を作り続け、近年では「実録・連合赤軍」が大きな注目を浴びた。
キャタピラーは、戦地で四肢を失い「生ける軍神」として帰還した男と、「銃後の妻の鑑(かがみ)」として男を介護する女の一組の夫婦の姿を通して、戦争の愚かさと悲しみを描き出した作品。主演の寺島しのぶさんはベルリン国際映画祭で銀熊賞(最優秀主演女優賞)を受賞した。
当日は幅広い世代が来館し、90席のシネモンドに多くの立ち見が出た。上映終了後に舞台に立った若松監督は「小学校3年生の年に終戦を迎えるまで、大人になったら軍人になると当たり前のように思っていた」と自身の体験を披露。同作品について、「正義の戦争などないということを、戦場ではなく、銃後の女性の姿を通して表現した」と説明し、「嫌なものは勇気を持って嫌だと言える、高校生や大学生などの若い世代にぜひ見てもらいたい」と訴えた。
シネモンドでの公開は、「日本がポツダム宣言にサインした日にこだわった」(同監督)という8月14日から。上映時間は1時間24分。