「ラ・フォル・ジュルネ金沢」閉幕-過去最高10万8,000人が入場

ピアニストとともに荘厳な響きでピアノ協奏曲を奏でる「シンフォニア・ヴァルソヴィア」

ピアニストとともに荘厳な響きでピアノ協奏曲を奏でる「シンフォニア・ヴァルソヴィア」

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 「ラ・フォル・ジュルネ金沢『熱狂の日』音楽祭2010」が5月5日、閉幕した。初めて香林坊・広坂地区を会場に加え、7日間にわたって金沢を音楽一色に染め上げた祭典の入場者数は、過去最高の延べ約10万8,150人に上った。

新作能「調律師-ショパンの能」

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 同音楽祭には、ジャンルや国籍の異なる個人98人と39団体、合わせて約1,850人が出演。今年のテーマ「ショパン,ジェネラシオン1810」に沿い、「ピアノの詩人」と称えられるショパンと、ロマン派の代表的な作曲家、シューマン、リスト、メンデルスゾーンの魅力を市民らに伝えた。

 演奏者の聴き比べを楽しめる同音楽祭。同じショパンの楽曲ながら、奏者の感性や解釈、表現で大きく印象が変わった。還暦を越えたフランス出身のベテランピアニスト、ブルーノ・リグットさんが「英雄」「華麗なる大円舞曲」「ノクターン」を弾き洗練されたテクニックを披露すれば、リストが編曲した「17のポーランドの歌op.74」を選曲したベルトラン・シャマユさんは、サロン音楽を思わせる表現を排除し繊細さを前面に押し出した。

 レバノン生まれのアブデル・ラーマン・エル=バシャさんは、円熟した優しい音色で「24の前奏曲op.28」を紡ぎ、日本を代表するジャズ・ミュージシャン小曽根真さんは、ポーランド民俗音楽の歌手アナ・マリア・ヨペックさんとともに歌曲「ドゥムカ」を披露。ブルースを思わせる物悲しい歌声とピアノで、侵略を受け続ける故国ポーランドを思うショパンの心の叫びを静かに歌い上げた。

 金沢ならではの能とのコラボレーションも観客の人気を集めた。日本文化の研究者でもある駐日ポーランド大使ヤドヴィガ・マリア・ロドヴィッチさんが台本を書いた新作能「調律師-ショパンの能」は、友人で絵師のドラクロワが調律師の姿をしたショパンの亡霊に出会い、その音楽への思いに触発されるというストーリー。亡霊にふんした観世流シテ方の観世銕之丞(かんぜてつのじょう)さんが「我が魂を鳥たちとともに祖国に連れていってくれ」と謡をうたい、ノクターンのピアノ演奏に合わせて舞った。この能はまだ制作途中のため、全編の3分の2は女優の若村麻由美さんの語りで進められた。

 最終日の5日、石川県立音楽堂(金沢市昭和町)で行われた記者会見では、前田利祐実行委員会会長が「今年のラ・フォル・ジュルネ金沢は総合的に見て、大成功だった」と総括。クロージングコンサートでは、井上道義さんが指揮するオーケストラ・アンサンブル金沢がブリジット・エンゲラーさんらと共演して祭典の終幕を飾り、アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンさんが「来年は『ウィーンのシューベルト』をテーマに、同時代に活躍したロッシーニやサリエリらも紹介する」と発表した。

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