歴史博物館で「シャルジャ」展-アラビア半島の発掘品を国内初展示

紀元前に作られた銅製の鉢と腕輪

紀元前に作られた銅製の鉢と腕輪

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 金沢の石川県立歴史博物館(金沢市出羽町、TEL 076-262-3236)で現在、アラビア半島の歴史と文化を紹介する春季特別展「シャルジャ、砂漠と海の文明交流-アラビアの歴史遺産と文化-」が開催されている。

副葬品の首飾り

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 同展では、アラブ首長国連邦(UAE)の一国、シャルジャ首長国での考古学調査で見つかった出土品を中心に、同国首長の古地図コレクションなどを公開している。同館によると、同半島の遺物を集めた本格的な展覧会の開催は日本国内で初めて。シャルジャが同国外で発掘品を展示するのも初めてという。同展は、UAEが建国40周年を迎えるのを機に、同半島で25年にわたり発掘調査を続けてきた金沢大学人間社会研究域考古学研究室の佐々木達夫教授と同国政府が企画した。23日に同館で行われた開会式には、首長のシェイク・スルタン殿下も出席した。

 展示品は、シャルジャをはじめとする同半島に残る住居跡や、有力者の墓などから発掘された紀元前から16世紀ごろまでの石製の器や装身具、中国など他地域から輸入された陶磁器の破片など約300点。B.C.2000~1000年ごろに作られた銅製の腕輪や鉢、1世紀ごろにワインや油、穀物を運ぶために使われた底のとがったかめ、B.C.1000年前後の作とみられる宝石「玉髄(ぎょくずい)」製の首飾りなどが並び、来場者が同半島に暮らした人々の文化や生活に理解を深めている。

 このほか、歴史学博士号を持つ同殿下が収集した15世紀から近現代までの同半島とアラビア湾(ペルシャ湾)の地図49点も会場の一角を占めた。ヨーロッパで製作されたもので、大航海時代にあたる15世紀当初は測量をせず、間違ったイメージをもとに描かれていた地図が、イギリス、オランダとインドとの交易を経て、次第に正確に記されるようになっていく変遷が見て取れる。民族衣装や生活用具、アラビア書道の作品も展示されている。

 初日の4月24日は同国政府文化情報省所属の民俗楽団の公演も行われ、民族衣装に身を包んだ楽団員19人が太鼓「タベル」や笛「ミズマール」、バグパイプ「ジルバー」を使い、軽快な音楽と踊りを披露した。アラビア書道とハンドクラフトの実演、アラビックコーヒーの試飲も。

 同館学芸員は「アラビア半島は西のヨーロッパと東の中国、インドの中間地点にあり、出土品は両方の文明の要素を持っているのが特徴」と見どころを説明する。

 開館時間は9時~17時。入館料は、一般=750円、大学生=600円、65歳以上=600円。高校生以下無料。6月6日まで。

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