九谷焼の創作集団「九谷塾」(代表=吉田幸央さん)が、12月2日~4日に東京ビッグサイト(東京都文京区)で開催された「IFFT/インテリアライフスタイル・リビング」展で、カブトムシとクワガタをモチーフにしたオブジェを発表し注目を集めている。
SUPER KUTANI INSECT SERIESのカブトムシとクワガタ
九谷焼は、石川県を代表する伝統工芸として知られるが、近年は市場ニーズの変化から産業として衰退しつつある。九谷塾は、九谷焼の絵付職人、窯元、問屋ら9人が作り手と売り手の垣根を越えて結成したグループで、「今の時代に語りかけることができ、350年続く九谷焼の歴史を後世に継承できる」新商品の開発を目指す。
カブトムシとクワガタのオブジェは、県の伝統産業新商品開発事業(新ライフスタイル研究事業)の採択を受け、「SUPER KUTANI INSECT SERIES」と銘打って開発したもの。それぞれ5種類、計10体ある。カブトムシとクワガタをモチーフにした理由として、九谷塾メンバーでプロデュース・流通が専門の西田ジョオさんは「自分たちが好きだから。メンバーの年齢層は30~50代と幅広いが、カブトムシとクワガタというアイデアには誰もがうなずいた」と笑顔で振り返る。
カブトムシ12ピース、クワガタ11ピースからなる実寸大の巧みな造形は、既存の九谷焼を超える細密さ。10体それぞれに、「金盛」「細描」「花詰」「細字」など九谷焼の多様な装飾技法を盛り込んだ。西田さんは、「九谷焼とは何か、九谷塾とは何かを言葉で説明する以上に雄弁に語ってくれる作品に仕上がった」と胸を張る。
IFFTでは日本の若手職人を紹介する「アルチザン」ブースに出展。ルーペ越しに鑑賞する展示手法で多くの人の目を引いた。「若い女性からは『かわいい』、男性からは『かっこいい』と、これまでの九谷焼とは異なる形容を受けた」との感想を耳にし、確かな手応えを得たという。
SUPER KUTANI INSECT SERIESは限定受注生産。今後は海外に向けても情報発信、販路開拓を進めていくとともに、シリーズ第2弾・第3弾も企画予定。九谷塾の活動を継続的なものにしていく。