金沢のギャラリーでガラス作家個展-「光をため込む温かみ」を表現

ギャラリー林檎舎で開催中の「扇田克也展」

ギャラリー林檎舎で開催中の「扇田克也展」

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 金沢のギャラリー林檎舎(金沢市西都1、TEL 076-268-8022)で現在、企画展「扇田克也展」が開催され、ガラス作家として知られる扇田さんのガラスのオブジェ約60点が展示されている。

「光をため込む温かみ」を表現する扇田さんの作品

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 同ギャラリーに常設している扇田さんの企画展は今回で4回目。ガラスという素材でありながら自然光を取り込む温かみのある作品について、同ギャラリーの南浩子さんは「扇田さんの企画展には、必ず遠方から訪れるコアなファンもいる」と話す。

 扇田さんの代表作品「HOUSE」(5,250円~)は「家」がモチーフ。銀や銅などの素材とガラスを組み合わせることで生まれる色合いや風合いが楽しめる。さまざまな色と大きさの「家たち」が並ぶ様子は、まるで絵本の世界から抜け出したよう。「IHARIKI」は「I=鋳物・HARI=ガラス・KI=器」を組み合わせた扇田さんによる造語で、オブジェに遊び心を添えている。また、リサイクルした蛍光灯のガラスを使った作品「リ・ライト」は、生き生きとした独特の色合いに仕上げた。

 大阪出身の扇田さんは1980年に金沢美術工芸大学鋳金科を卒業。東京ガラス工芸研究所でガラス技法を学んだ。1986年には国際ガラス工芸展で大賞を受賞したほか、主なパブリックコレクションには、北海道近代美術館、横浜美術館、デュッセルドルフ美術館、コーブルグ城美術館、金沢21世紀美術館、サントリー美術館などがある。現在は地元大阪・河内長野市と内灘の工房で創作活動を行っている。

 大学卒業後、照明メーカーで会社勤めをしていた扇田さんはガラスへの興味を持ち続け、ある日、乗り合わせた電車の座席に置き去られた雑誌に「東京ガラス工芸研究所が設立された」という記事を見つけたことが、ガラス作家として歩むきっかけになった。

 素材としてのガラスは一般的に「鋭利・繊細」というイメージを持たれるが、扇田さんは「光をため込む温かみ」を表現する。自然光を巧みに取り込んだ時の「見え方」を大切な要素に、生活の中での「朝日・昼の光・夕焼け・月明かり」など、時間ごとの違った光を通して生き生きとした表情が感じられる素朴な質感の作品が特徴。いわゆる「ツルツル・ピカピカ」のガラスではなく、素材と環境が織り成す温かみを感じることができる。南さんは「扇田さんのファンの方も、作品を知らない方にもガラスの魅力を知ってほしい」と話す。

 営業時間は11~18時(最終日は17時まで)。扇田さんの在廊日は12日・14日。今月14日まで。

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