「国際漆展・石川2009」が1月21日~26日、めいてつエムザ(金沢市武蔵町15)で開催された。「漆の新しい広がり」をテーマに、国際漆展・石川開催委員会事務局(金沢市鞍月2)が主催し、世界の11カ国と地域から出品された82点が展示された。
漆と異素材を組み合わせた漆芸作品など、現代の生活空間を演出する個性的な作品が世界中から寄せられ、その芸術性の高さが来場者を魅了した。今回は、海外からの出店が過半数を占めた。
同展は1989年から定期的に開かれている、漆では唯一の国際公募展で、今回が8回目。多彩な工芸品の産地として知られる石川県の中でも、漆器分野は「輪島塗」「山中漆器」「金沢漆器」という日本を代表する産地を有し、生活文化の中で成熟させてきた。漆を用いた新しい生活や新しい感性の提案などを広く国内外に求めることで、漆産業の活性化と、漆を通じた国際交流の推進や生活文化の向上を目的に企画された。「暮らしの中の漆」から「新しい感性を表現する漆」まで、さまざまな観点での取り組みを期待している。
応募は昨年2月から始まり、13の国と地域から215点(うち国内は111点)が集まった。同年8月にスライド審査、10月に本審査が行われ、審査員に大西長利さん(漆芸家、東京芸術大学名誉教授)、前史雄さん(漆芸家、人間国宝)、モニカ・コプリンさん(ドイツ・ミュンスター漆器博物館長)ら専門家7人を迎え、食器・花器・インテリア用品・壁画・ジュエリー・オブジェから洋服まで、さまざまな分野の作品82点が選ばれた。うち国内は40点。
大賞は、井川健さん(京都府)の「時の航行」。従来、漆作品一般に求められる「温かさ」や「柔らかさ」とは逆に、「冷たさ」「鋭利さ」を強く感じる新鮮なデザインで完成度が高い。商品開発特別賞は志奈幹雄さん(金沢市)の「服装」。半コート、スカート、陣羽織(じんばおり)など繊維製品への応用という優れた企画性が評価された。様々な繊維製品分野への広がりと商品化が期待されている。