金沢で冬の風物詩「氷室の仕込み」-湯涌温泉が雪詰めの恒例イベント

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 金沢の湯涌(ゆわく)温泉観光協会(金沢市湯涌町)は1月25日、同町薬師寺境内の氷室小屋で江戸時代から行われている伝統行事で冬の風物詩ともなっている「氷室の仕込み」を行い、地元住民や観光客ら約300人が訪れた。

屋根組みは江戸時代のままの「氷室小屋」

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 同協会が観光行事として毎年行っている「氷室の仕込み」は、幅3×奥行き4×深さ2.5メートルの「氷室」と呼ばれる小屋の中に約30トンもの雪を詰める作業。江戸時代に加賀藩では氷室に雪を保存し、その雪に「無病息災」の願いを込めて夏に数日をかけ江戸の将軍・徳川家に献上していた。同地区では、天然の冷蔵庫として食料の保存や看病用に利用するため、氷室に大寒の雪を詰め込んで夏に備えていたという。1月に仕込まれた雪を6月30日の「氷室開き」で取り出し、現在は7月1日「氷室の日」に石川県知事や金沢市長に贈る。

 雪詰めは1986年に同協会が復活させて現在まで続けているが、この2年は雪不足に悩んだことから、今年は2週間前から雪の確保に対策を講じていた。仕込み当日に十分な積雪があったのは3年ぶりで、「地元の雪」を使える喜びに関係者の笑みがこぼれた。

 同協会では昨年7月の浅野川水害からの復興を願うとともに、歴史的に貴重な文化を伝統行事として伝えていこうと雪詰めへの参加を呼びかけ、当日は地元の小学生や観光客などの家族連れが、次々と雪の塊を氷室の中に投げ入れて一年の無事を祈った。氷室のふもとにある「湯涌夢二館前広場」では、太鼓演奏や山賊汁・氷室まんじゅうの販売なども行われ、訪れた人々は白銀の世界での伝統的な行事を満喫した。

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