
繊維を製造するカジグループが4月10日、かほく市内にオープンファクトリー「KAJI FACTORY PARK(カジ・ファクトリー・パーク)」(かほく市大崎)をオープンした。
同社の超軽量テキスタイル「KAJIF(カジフ)」を通じて、合成繊維を学んだり、生地を製造する工場を見学したりできる体験型の産業観光施設で、ショップやレストランなどを併設する。
かほく市高松にある同社工場がフル稼働状態であることから、設備増強のため商業高校跡地を取得して新工場を建てた。24時間稼働で合成繊維の糸加工や織物などの工程を一貫して行う。
カジレーネ・KAJI FACTORY PARKプロジェクト長の砂山徹也さんによると、水資源の豊かな北陸では絹生産が盛んだったが、近代以降は湿潤な気候から静電気を嫌う合成繊維の生産に代わり、今では国内生産の約9割を占めるという。「下請けが多いため、あまり知られていないこの地場産業を盛り上げて、地域を活性化したいという思いがあった」と話す。最新の施設をオープンファクトリーとして一般公開することによって、「繊維産業を元気にして人が集まる業界にすることを目指した」とも。
ファクトリーツアーでは並んだ機械が稼働する様子を窓越しに見学できるほか、工場の音や湿度、匂いを体感できる窓のないライブビューイングのテラスも設けた。生地の特徴や製造方法などを説明するコーナーや同社製品が使われた服の展示もある。
自社製品を使ったバッグなどのグッズブランド「TO&FRO(トゥー・アンド・フロー)」と、ファッションブランド「K-3B(ケー・スリービー)」の国内最大の旗艦店を併設し、同店限定の商品も置く。
北陸の商品を中心に扱うセレクトショップや、地元食材を生産者の解説と共に提供するレストランも併設。繊維や織物を使ったテキスタイルフラワーなどのワークショップも予約不要で行い、土曜・日曜は家族連れでにぎわっているという。
屋外のスペースには、建築家で陶芸家の奈良祐希さんがデザインしたパブリックアートや、プラントハンター西畠清順さんが造園した南イタリアの樹齢約1000年のオリーブなどがある。
砂山さんは「オープンから2週間で5000人を超える人出があり、ツアー会社からの問い合わせもある。庭などにも自由に入れるので、地域の人にも気軽に来てもらえれば」と話す。
開館時間は11時~18時。入館無料。