「溶けないソフトクリーム」の開発で全国的に知られる日本海藻食品研究所(金沢市本江町)が2月9日、食品添加物を使用せず、100%植物性の素材で「白子もどき」の技術開発に成功したと発表した。
同社の白石良藏会長によれば「人工いくらはできても人工白子はできないのが業界の常識だった」という。白石会長も10年以上前から人工白子の研究開発に取り組んできたが、「石川ならではの生の白子の食感を再現することと食品添加物を使わないこと」にこだわったため、満足できる結果はなかなか出せなかった。今回は原点に立ち返り、社名の由来ともなったペースト化した海藻を麺状に成型する特許技術を生かし、豆腐と海藻と寒天だけで白子の皮膜感とクリーミーな食感を再現することに成功した。
同社が技術開発した白子もどきは型崩れせず、ポン酢であえるほか、焼く、揚げる、しゃぶしゃぶにするなどのアレンジも可能。カキのゆで汁やチーズを加えると、より白子に近い風味になるという。
これまで溶けないソフトクリームをはじめ数々の独創的な食品の開発を行ってきた白石会長だが、「通常廃棄される食材を使う」「特殊な機械が不要」という白石イズムは白子もどきにも貫かれている。「海藻ペーストは商品にする際にカットされた部分を加工したもの。豆腐は形が崩れてスーパーに並べられないもので十分」と白石会長。豆腐と海藻ペーストをミキサーで混ぜた後は、絞り袋に入れて酢水に絞り出せば成型は終了。
ヘルシーな豆腐と海藻を主原料とした白子もどき。本物の白子の代替品としてはもちろん、健康食、自然食を提供する専門店への販路開拓も目指す。