金沢工業大学情報学部心理情報学科の神宮英夫教授(同大感動デザイン工学研究所長)のグループは「化粧品の高級感」をテーマに、研究に取り組んでいる。
化粧水では、当初は使い心地や肌実感を評価した使用者の意識が連続使用4日目~7日目の間に変化し、「プラスアルファ」の機能に注目することが明らかになった。
研究では、10歳代後半から40歳代前半の女性10人に高価格帯の化粧水2種類と低価格帯の2種類の計4種類をそれぞれ1週間続けて使ってもらい、1日目と4日目、7日目の使用感を評価してもらった。
この結果、高価格帯の化粧水では、使用1日目に最も高級感を覚える要素は「ひんやり」「なめらか」といった言葉で評される「使い心地」だったが、4日目には「しっとり」「さらさら」といった「肌実感」が「使い心地」を抜いた。7日目は、肌の上での製品ののびに注目する人が増え、「使い心地」「肌実感」は高級感の要素にはならなかった。
一方、低価格帯のものでは、初日は最も大きな要素だった「肌実感」の影響力が次第に小さくなり、7日目は「持続感」がポイントになった。
研究は、より消費者受けする商品がどのようなものかをメーカーにアドバイスする狙い。近日中に発行される日本化粧品技術者会誌に発表する。
神宮教授は「メーカーは使い始めにインパクトがあるものを作ろうとするが、リピーターになってもらうには、消費者が連続使用して良いと思うものを作ることが大切。肌実感や使い心地の良さは維持しなくてはならないが、高級感は強い香りに慣れたころに感じる伸縮感など、違った視点で成り立っていることを知ってほしい」と話す。