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田んぼとイチゴとテクノロジー ~社会課題にチャレンジ~

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提供:北菱電興 制作:金沢経済新聞編集部

 美しく整備された田んぼに元気に育てられた稲の広がる風景は、見ているだけで不思議と心が穏やかになる。これは大切なわが国の文化的景観であると同時に、稲を育てている農家のたゆまぬ努力の結晶でもあるのだろう。

 しかし農林水産省の統計によると、米の需要減少と共に水田の作付面積も減少の一途だという。その一方で国産米にこだわる消費者の声も強く、最近では米の需給バランスが崩れて品薄になったり価格が高騰したりする事態が起きたことも記憶に新しい。私たちには、おいしいお米がまだまだ必要なのだ。

 ところで、その田んぼに張る水の量を自動的に調節して農家の作業を助けている装置があるのをご存じだろうか。その装置を作っている企業が金沢市にあるというので、話を聞きに行った。

田んぼを支える装置とは

(左から)アクアポートを説明する北菱電興の西田さんと若林さん

 訪問したのは北菱電興(ほくりょうでんこう)という電子機器製造の会社で、対応していただいたのは開発事業部スマートアグリビジネスグループの西田圭佑さんと若林希武さん。

 この装置は「水田用自動給水機 アクアポート」という商品で、田んぼの水位を検知して自動的に給水や止水をしてくれるそうだ。西田さんによると、稲作にとって最も重要で、しかも最も手間のかかる工程が田んぼの水の管理だという。これが農家にとっては大変な作業で、農業の担い手が離れていく原因の一つになっているという声を聞いて開発が始まったという。

アクアポートの外観

 アクアポートは、田んぼに設置したセンサーが水位を検知するという意外とハイテクな装置。水量が減って設定した下限水位を下回ると自動で弁を開いて給水が始まり、上限水位に達すると閉じて止水する。装置を設置して水位設定をすると、水門の開閉が不要になって水のための見回りが減り、作業時間が劇的に節約できるという。厳しい環境に置かれる装置なので、防水性はもちろん耐候性、耐衝撃性などの性能にも十分配慮した設計になっている。

 最近ではスマート農業の市場も活性化し、通信ネットワークに接続してスマートフォンで遠隔操作する装置なども出てきているが、この装置は「手頃で手軽」をコンセプトとし、シンプルさを追求したそうだ。従って専門的な工事が不要で一人で装置を設置でき、単体で全てが完結するというスタンドアロンな設計になっている。外部電源も不要で、何と単一電池4本でワンシーズン駆動するという省電力設計。低価格で提供できることも重要だと考え、5万円以下の価格設定にもこだわったという。

 調べてみると、稲作農家の平均年齢は何と71.1歳。2005年に約140万軒あった個人経営の稲作農家は2020年には約70万軒と半減しているという。(出典=農林水産省「農林業センサス(2020年)」)

 法人経営として稲作をしている事業者は逆に約3400から約1万2000と3倍近くに増えており(同出典)、中には農作業が困難になった農家の農地を預かって作業を代行するサービスもあるそうだ。その場合は少人数で広大な面積の農地を管理しなければならない課題があって、この装置を導入して効率化を図っている事業者もあるという。

 商品を全国各地で使ってもらうようになると、「田んぼも地域や気候、稲の種類などによってさまざまな育て方の違いがあることが分かってきた」と開発を担当した若林さん。水温調整のため給水するタイミングを設定したいという声も多く、その要望を受けてタイマーを内蔵したモデルなども追加で商品化したという。

ユニークな事業の裏側にある社会課題

北菱電興本社

 北菱電興は、FA機器等の電気・電子機器の販売から、各種制御システム・電子機器の開発・製造、建築設備工事の設計・施工まで幅広く展開する会社。売り上げは約200億円(2023年度)の石川県を代表する企業の一つだ。同社の事業ポートフォリオを見ると、企業や自治体などに向けたBtoBの大規模プロジェクトが多い中で、ユニークな事業がいくつかあることに気付く。

北菱電興の技術を導入したイチゴ農園

 その中の一つがマイクロ水力発電の事業。川など自然の流水エネルギーを活用して発電するシステムで、小流量や低落差といった水理条件でも安定稼働するのが特徴。分散型電源や自家消費などのオフグリッドとしての用途に応え、電気の地産地消を実現するソリューションで、エネルギーと環境の問題、そして過疎化や災害時などの課題に対しても有効だ。

 しかも同技術によるクリーンエネルギーを活用し、ビニールハウス内の温度管理や余剰電力で温水をつくって融雪に利用するなど、さまざまなテクノロジーを組み合わせて実際にイチゴ農園を運営しているというから驚きだ。シーズンになるとイチゴの摘み取り体験もできるというので、まさに観光資源も生み出していることになる。

 このように同社は大規模なシステムだけではなく、一見地味にも見える社会課題に対しても果敢にチャレンジしている姿勢がうかがえる。

開発プロセスを説明する西田さん

 再び西田さんに聞いてみた。「アクアポートは農家の現場の声を聞く、目の前の課題に共感する、というところから生まれている商品。試作機の段階から実際に田んぼで使ってもらい評価を開発に反映するなど、農家の声を聞きながら開発している」という。「自分の実家も農業をしていて、その苦労を知っていた。実はこの会社に転職したのも、こういう製品を開発しているということを知って感激したから」とも。

 農業のみならず、取り組まなければならない社会課題は山積している。豊かな未来のためには、このような地道に課題と向き合っていく姿勢が重要になるのだろうと感じた。それを解決するテクノロジーと組み合わせれば可能性は無限大ではないだろうか。これからも同社の活動から目が離せない。

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