
提供:エキスパート・フラップ 制作:金沢経済新聞編集部
多くの企業が人材の課題を抱えている。中でも「応募が少ない、自社に合った学生が来ない、内定辞退や早期離職が多い」という採用に関する声が多いのではないだろうか。調査(※)によると「求人に対して応募がない」という中小企業は約3割に上るという。
※中小・中堅企業の事業課題・人材課題に関する調査(リクルート調べ、2024年3月)
石川県で人材関連の事業を展開している企業「フラップグループ(エキスパート・フラップ、ウイルフラップ)」(金沢市問屋町1)では、この課題に取り組むために「就活の窓口」と「研修の窓口」というユニークなサービスの入り口を用意している。
同社の「就活の窓口」は、企業と石川県内の学生をつなぐ就職支援サービスで、企業には採用戦略や就活イベントを支援し、学生には個別相談や企業紹介を行っている。単に企業の紹介だけにとどまらず、企業の見学に同行するなど双方が理解し合う「顔の見える就職・採用活動」をサポートしているのが特徴だという。
金沢市内にあるフラップグループの施設外観
一方「研修の窓口」は、企業の人材育成を支援する研修サービスで、新入社員から管理職まで、目的に応じたプログラムを設計して提供。集合研修やオンライン研修にも対応し、組織の成長と人材の定着を支えている。
同社が中小企業の人事担当者や経営者に向けた「採用×教育 仕組みつくりセミナー」を行うというので、参加した。人材課題の解決に向けた情報提供と、同社が提供するサービスを理解してもらうために企画したという。
当日、金沢市内の会場に集まったのは、石川県内に事業所がある12社。各社2人が参加した。
「採用×教育 仕組みつくりセミナー」の様子
「採用」の説明では、求める人材像を明確にして、その上で自社に合った戦略をつくることが重要だという説明があった。そのためには、自社の強みが何かを整理した上で採用基準を作成するなどのプロセスが必要だとして、採用に向けた具体的な「採用フロー」の紹介があった。
セミナーではゲーミフィケーションを活用したコミュニケーションワークの体験も行われる
「教育」の説明では、中小企業の管理職はプレイングマネジャーが多く、部下育成に時間をかけることができない現状の課題を共有し、企業の成長を阻む原因の一つになっていると指摘。解決に向けた施策として、社員が仕事の面白さや自らの成長を実感できるようにする仕組みや、適切なフィードバックの提供などが重要だと説明があった。組織力を高めるためには、新人や若手に対する教育だけではなく、上司や管理職も育成する必要があり、そのためのプログラムもあるという。
セミナーで採用と教育の戦略について解説する講師
採用も教育も、共に適切な「仕組み」作りが重要で、そのためのサポートを同社サービスとして提供できるという内容だった。
セミナーで講師を担当したフラップグループの浦道生さんは、大学卒業後は金融機関で営業の仕事をしていたが、中小企業の経営課題に取り組んでいるうちに人材課題の大きさに気付き、人材コンサルタントの道へ進んだという。セミナーの中でも取り上げていた「採用ブランディング」について話を聞いた。
フラップグループの浦道生さん
採用ブランディングは、企業のブランディングの一環で採用を捉える考え方。企業が何を理念としていて、どういう社員がどう考えているかといった価値観や魅力を発信して、求職者の共感を得ることで採用力を高める取り組み。浦さんは「その企業らしさや理念、強みを明確に求職者に伝えるのが目的。採用サイトや説明会など、あらゆる接点で一貫したメッセージを発信することが重要」と話す。この取り組みを徹底することで、応募者の質が向上し、入社後の社員のエンゲージメント向上や定着率の向上につながっていくという。
「ブランディングという言葉自体を誤解している人が多いので、正しく理解してもらいたい。採用ブランディングの価値と効果を地域の企業に知ってほしい」と浦さん。
同社では採用ブランディングに基づいた仕組みづくりや、戦略策定をサポートするサービスも提供している。企業の経営者や組織を巻き込んだワークショップを行うなど、現場に深く入り込んだコンサルティングを行うという。浦さんによると、「サービスを通じて、実際に採用人数が増えたり、採用コストを削減できたりと、成功事例が増えている」という。
コンサルティングの様子 (写真提供=エキスパート・フラップ)
浦さんは「採用の失敗は教育では補えないと考えている。逆に教育に失敗するとせっかくの人材も離職してしまう」と話す。その点、フラップグループは「採用」と「教育」の両サービスを提供できることが強みなのだろう。この2つをつなぐ一貫した「仕組み」があれば、人材課題の解決に向けた強い武器になるに違いない。同社の成功事例が増えることで、地域の発展につながっていくことに期待したい。