輪島漆塗の競技用自転車・ヘルメット-輪島の漆器店が新たな取り組み

輪島漆塗りで作られたヘルメットと自転車

輪島漆塗りで作られたヘルメットと自転車

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 輪島の伝統工芸品として知られる輪島塗の漆器メーカー「加波次吉漆器店」(輪島市河井町、TEL 0768-23-1193)が漆塗りの自転車・ヘルメット・サイクルパーツの製作に乗り出し、自転車愛好者らの注目を集めている。

漆塗りヘルメットを製作した加波さんとプロロードレーサーの野寺さん

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 自身が自転車ファンでもある同店代表の加波基樹さん。2008年、観戦に訪れた「Jサイクルツアー輪島ステージ」後にプロロードレーサーの野寺秀徳さんがブログで「漆塗りのヘルメットが欲しい」と書き込んだのを見て、「ぜひ作らせてほしい」と連絡し製作を始めた。その後のロードレース「シマノ鈴鹿」で、野寺さんは漆塗りのヘルメットで出場。加波さんは同会場で生まれた新たな縁から、京都の機械メーカー、横浜のレザーブランドとともに漆塗り自転車の開発も手がけることになった。

 「製作段階で苦労したのは、漆が最も苦手とする紫外線と重量」だという。試行錯誤を重ね、素材が従来の木でないことから、輪島塗の工程の中でも、補強のため漆を染み込ませた布をはる「布着せ」と、木目が表面に出ないようけい藻土の粉を付ける「地の粉下地」を外すことで軽量化を実現、漆塗り前と重量をほとんど変えず仕上げた。最後の上塗りには、紫外線により、劣化しにくい漆を使用し屋外でも使えるように工夫した。

 漆塗り自転車は「漆・革・鉄のコラボレーション」として、昨年千葉で開催された国内最大級の見本市「サイクルモード」に出展した。3月からは横浜のギャラリーでの販売を予定する。ヘルメットはイタリアの自転車ショーにも出し、現地代理店での陳列も決まった。「今後は、フレームなどサイクルパーツも順次展開する予定」と加波さん。

 加波さんは「一般的な漆製品の需要には頭打ちの感があるが、自転車に用いることで興味を持っている人がいると分かった。おわんを買った人がヘルメットを買うことはまずないが、ヘルメットを買った人が漆器の購入を検討する。輪島塗の販路拡大につながれば」と話す。

 能登地方では自転車レース「ツール・ド・のと」も開催されており、加波さんは「漆技術を自転車業界にも浸透させ、能登地区の自転車競技の発展にも貢献できればうれしい。夢はツール・ド・フランスへの出場」と意欲をみせる。   

 価格は、自転車(フレーム&フロントフォーク)=35万円~(色・模様により異なる)、ヘルメット=6万円~(ヘルメット代別)。すべて手作業のため、現在は受注生産のみ。

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