江戸後期の金沢町人、梅田甚三久(うめだじんさく)がつづった「梅田日記」に登場する庶民の料理を歴史研究者の解説とともに楽しむ会「遍夜(あまねないと)」が8月1日、金沢市片町の日本料理店「笑宿(わらいや)」で催された。
遍夜は、現在開催中の「かなざわまち博」の一環として大学横断型の学術プロジェクトグループ「遍プロジェクト」が企画したもの。同プロジェクトではこれまでに梅田日記のブログ化発信や、日記に記述のある甚三久の足跡を巡るモニター観光ツアーの実施などを手がけている。
この日は甚三久が家の新築に携わった大工に振る舞った料理を、フードコーディネーターのつぐまたかこさんと笑宿の協力を得て現代風に再現。ゲストの元金沢市史専門委員の長山直治さんが「甚三久は金沢人らしく食べることが好きで、日記にも食事に関する事細かな記載がある」と梅田日記の魅力を紹介した後、約20人の参加者が江戸時代の金沢に思いをはせ、「タイのなんば炊き」「奴とうふ」「えびの煮付け」などの7品に舌鼓を打った。
遍プロジェクト代表を務める北陸先端科学技術大学院大学の堀井洋助教は「古文書をベースにした『商品』を開発していくのが当プロジェクトの目的。今後は梅田日記の海外発信も考えている」と話している。