ねずみの陶工「ちゅう右衛門」が金沢で初個展-ミニ九谷焼を発表

通常の0.38~0.39倍サイズの「ちゅう右衛門」の作品。落花生は実物。

通常の0.38~0.39倍サイズの「ちゅう右衛門」の作品。落花生は実物。

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 九谷焼の上出長右衛門窯(能美市)で夜な夜な作陶活動にいそしむとされる、ねずみの陶工「ちゅう右衛門」による初の個展「ちゅう右衛門翁 大作陶展」が6月10日、ひがし茶屋街の「茶房一笑」(金沢市東山1、TEL 076-251-0108)で始まった。ねずみらしさが漂うユニークな展示方法やミニチュアサイズの作品に凝縮された九谷焼の繊細な技が、訪れる人の目を楽しませている。

個展会場3階の屋根裏に再現された「ちゅう右衛門」の工房

 会場で発表されている陶歴などによると、ちゅう右衛門は同窯の創業と同じ明治12年に生を受け、今年の7月で130歳になる。同窯内に小さな工房を構え、職人たちの作業風景や完成品を見ながら独学で技術を会得。前足や顔、前歯を使う独自の方法でロクロ成形し、しっぽを筆のように使って描くことで絵付けを施すという。北陸のアート情報を集めたフリーペーパー「イコール」では、昨年からエッセー「昨日のお茶碗」も連載している。

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 同展は、創業130年を機に同窯の上出惠悟さんが企画。作品は、笛を吹く人が笛を吹くねずみの絵柄になっていたり、一閑人がねずみになっていたりするなど、部分的にアレンジを加えたものもあるが、多くは同窯のデザインをそのまま模したもので、サイズは人間用の0.38~0.39倍。染付や色絵のくみ出し碗(わん)や銘々皿、向付(むこうづけ)、とっくり、盃(さかずき)、急須(きゅうす)、花器など約40種類を展示する。

 2階会場は古い日本家屋の風情を残す座敷だが、畳の上に作品は見当たらない。長押(なげし)の上や天袋の内部、床の間の隅など、人間の目が届きにくく、ねずみの隠れ場や通り道になりそうな部分に展示されており、どこに作品があるのかを見つける楽しみも。3階の屋根裏には、ちゅう右衛門の工房を再現。1階には、ちゅう右衛門の作品のほか、同展に際し輪島の桐本泰一さん、KiKU(新竪町)の竹俣勇壱さん、金沢市在住の金工作家・坂井直樹さんがそれぞれ「ねずみサイズ」で制作した蒔地はし、茶托(ちゃたく)、調理器具セットを展示している。ライブラリーコーナーでは、九谷焼に関する書籍やねずみが登場する絵本を読むことができる。

 「作品はねずみの身の丈に合わせた大きさなので、人間にとっては小さいが、機能的に問題はなく、ちゃんと使えるものばかり。繊細な筆使いや卓越したロクロの技術を見てほしい。実際に使ってもらってもいいし、デザイナーズチェアのミニチュアのようにコレクションするなどして、愛でる九谷焼として楽しむのもいいのでは」(上出さん)。

 同店の営業時間は10時~18時。月曜定休(祝日の場合は翌日)。7月5日まで。