加賀で「オーラルヒストリー文庫」発刊-地域の人々が語る歴史を冊子に

オーラルヒストリー文庫の第1号となる「吸坂飴物語」

オーラルヒストリー文庫の第1号となる「吸坂飴物語」

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 産学連携で「オーラルヒストリー図書館プロジェクト」を進める加賀市立図書館(石川県加賀市大聖寺、TEL 0761-73-0888)で5月、オーラルヒストリー文庫の第1号となる「吸坂飴(すいざかあめ)物語」が刊行された。

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 オーラルヒストリー (Oral history)は、口述記録を作成・編集した知的資産のこと。アメリカではオーラルヒストリーのアーカイブを政治史、外交史、文化史などの歴史研究に活用するほか、オーラルヒストリー専門研究図書館も設立されているという。

 加賀市は江戸時代に十万石の城下町として栄えた歴史あるまち。現在は県下有数の温泉地帯として知られるとともに、九谷焼、漆器などの伝統工芸が集積している。同市では、北陸先端科学技術大学院大学(略称=JAIST、能美市旭丘)の協力を得て、地域独自の知的資産をオーラルヒストリーとして収集することで市立図書館の振興を促そうと、2006年から「オーラルヒストリー図書館プロジェクト」を進めてきた。

 昨年には図書館関係者や地域の文芸サークル、歴史研究サークルのメンバーを中心に「オーラルヒストリー勉強会」が発足。加賀市内で50年間にわたって地元の名産「吸坂飴」の製造販売に携わってきた辻妙子さんにインタビューを実施し、これを物語風にまとめて「加賀市立図書館オーラルヒストリー文庫『吸坂飴物語』」として刊行した。

 「吸坂飴」は加賀市の南東にある吸坂地区で300年余りにわたって作り続けられている米あめで、砂糖などの糖類は一切使わない昔ながらの製法が特徴。しかし辻さんを含め、後継者の問題などから廃業する事業所が多く、同地区で営業を続けているのは現在1軒だけになっている。「吸坂飴物語」は、こうした地域の特色ある食文化とその背景にある歴史を次世代に語り継いでいくことが狙い。仕様はA4サイズ8ページ。今後、加賀市立図書館の玄関に配架して無料で市民に配布する予定。

 オーラルヒストリー勉強会では、市内在住の戦艦大和の生還乗員やアイガモ農法実践農家、「ミニキネマ加賀」運営者へのインタビューを計画しており、順次オーラルヒストリー文庫の制作を進めていく。

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