金沢を代表する川「犀川(さいがわ)」に架かり、地元の人や観光客にも親しまれている「犀川大橋」の塗り替えが15年ぶりに行われ、金箔で彩られた銘板とともに3月、装い新たに生まれ変わった。
加賀藩祖・前田利家が架けたのが始まりとされる由緒ある同橋は、古くは北国街道、現在は金沢の中心部を横断する国道157号線上にあり、交通量も多く地域のシンボルとなっている。1924(大正13)年の架橋からこれまでに5回の塗り替え作業が行われた。
今回の老朽化に伴う塗り替えに関しては、国土交通省金沢河川国道事務所などが検討を重ねる中、市民を対象に現在の印象や塗り替えの希望色についてアンケート調査を行い、575人から回答を得た。金沢らしさを表現するイメージとして「加賀友禅」「森の都」「雪吊り」「金箔」などが挙げられ、金沢らしさを表現するアクセントが求められていた。結果、水と緑をイメージした「青緑色のグラデーション」を採用し、耐久性を高めるためフッ素を含ませた特殊塗装を取り入れたほか、歩道にはコンクリートや鉄の腐敗を防ぐため初めて防水加工も施した。総工費は約1億8,000万円。
銘板の装飾については、金沢が金箔の国内生産シェア99%を占める産地であることから「箔付け」を求める声もあったが、「国の事業に採用するのはぜいたく」との議論も。しかし、「地元産業である金沢箔のアピールと橋への愛着を深める機会になってほしい」と、地元商店街が費用負担を申し出て、「金箔で彩られた銘板」が実現した。銘板の大きさは1.34×2.13メートル、「犀川大橋」の文字を縁取るように1枚約10センチ四方の金箔800~1,000枚を貼り付けた。鉄製の板への箔付けは技術を要することから、「鋳物の町」で知られ銅器などへの箔押しで実績のある高岡市(富山県)の熟練職人に作業を依頼した。
塗り替えに伴い、同橋の片町1丁目側の橋詰めには解説板も新設。2000年に同橋が国の登録有形文化財に登録されたことなどが、日本語と英語で解説している。