石川県の観光資源を題材に「漫画コンテスト」-入賞者に県が発注へ

コンテストの入賞者

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 石川県立音楽堂(金沢市昭和町20)で3月29日、「石川まんが祭り2009」が開催された。石川県は県内の観光資源を題材にした漫画を昨秋から募集。全国から60点を超える作品が寄せられ、入賞10作品の発表・表彰式も併せて行われた。

講評する永井豪さんと土山しげるさん

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 当日は、表彰式のほか、声優の松本梨香さんを招いたトークショーや石川県出身の漫画家・永井豪さんと土山しげるさんによるトークショーとサイン会、2人の原画と入賞者の作品展示、県出身者制作のコミック即売会も実施。会場には漫画愛好者や家族連れなど約500人が詰めかける盛況ぶりとなった。

 今回、子どもから大人まで楽しく親しめ、わかりやすいという「漫画の力」を石川の観光振興につなげるため、全国初の試みとして県が公募。「石川県の魅力を伝えるストーリー性のある漫画」「読んだ人に石川県を訪れたいと思わせる漫画」をテーマに、プロ・アマや年齢を問わず幅広い年代からの応募があり、1次審査は漫画雑誌の編集者、最終審査では永井さん、土山さんらが入賞作品を選んだ。

 大賞に輝いたのは坂本祥世さんの「金沢夢幻譚(かなざわむげんたん)」。美大生の主人公が加賀友禅の制作に取り組む最中、猫に化けて現れた祖父の幽霊に出会う。その幽霊は酒を飲むと人間の姿に変わる設定で結婚を果たせなかったかつての恋人に会うため、主人公とともに金沢の街を舞台に観光地を歩き、食や伝統芸能を通して新旧の金沢の魅力を発見しながら交流を育んでゆく心温まるストーリー。現在、東京の専門学校講師を務める坂本さんは、石川県羽咋(はくい)市出身で1995年に少女漫画誌でデビューした経歴を持つ。制作にあたり、金沢の観光地や食に関する情報は「旅行雑誌などで情報収集した」と話す。永井さんは「ストーリーもうまくできていてプロ並み」と絶賛。坂本さんには副賞として50万円を贈った。

 そのほか、優秀賞2点、審査員特別賞1点、三谷産業賞2点、金城大学短期大学部賞2点、代々木アニメーション学院賞2点の計10人を表彰した。代々木アニメーション学院賞を受賞したイラストレーターの新矢伸子さんは「ハコ鉄 浅野川線のあさちゃん」と題した作品で入賞。石川県に引っ越して2年となる生活の中で、息子が興味を持ったローカル電車を題材に選んだ。応募の動機について、「石川県に来て温かく接してくれた人の心づかいがうれしく、感謝する思いで描いた」と話す。

 永井さんは「それぞれが丁寧な作品でしっかりと描かれている。漫画文化がいろんな役割を果たしてくれればうれしい」と講評。土山さんは「県外の人の応募も多く、石川県についてよく調べられていて審査も楽しかった」と振り返った。

 入賞者には県が今後、石川の観光資源を題材にした漫画の制作を依頼。出版から制作にかかる費用を全額負担する。出版物は能登空港、小松空港、JR金沢駅、道の駅、全国のコンビニエンスストアなどで配布しPRに使う予定。

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